Gene And Francesca ジーン&フランチェスカ / Gene And Francesca

Hi-Fi-Record2009-04-24

昨日の夕方、
成田空港に着いた。


買付からの帰国です。
本日より
またどしどしと新着を出していきますので
みなさまご注目よろしくお願いいたします。


で、
その帰りの道中の話。


車を預けてあるパーキングに向かう送迎バスの中で
どこかのFMラジオが流れていた。


DJが言う。


「みなさんのiPodや携帯音楽プレーヤーに入っているのは
 とても大切な曲だと思います。
 あなたのプレーヤーに入っている素敵な曲を
 どうぞこの番組宛に教えてください」


ふうん。


その企画の意図はわからないでもない。
iPodが出始めの時期に
有名人やミュージシャンに
あなたのiPodの中身見せてください、なんて
企画をあちこちで見かけたもの。


むしろ引っかかったのは
iPodで持ち歩く音楽が
大切なものだ
という価値判断の方なのだ。


たしかにぼくもiPodユーザーだし、
移動中にヘッドホンで音楽を聴くことは日常茶飯だ。


ちょっとした移動時間のひまつぶしにもなるし、
景色の移動をともなう音楽の響きは
そのときどきで
異なる感慨を与えてくれもする。


でも、
本当に大切な音楽は
家で聴くものではないのだろうか。


いや待てよ、
大切なものだから
肌身離さず身につけている、という
言い方も成り立つのかな。


いずれにせよ、
音楽が“携帯可能”になったことで起こった大きな変化が
配信の時代になって
さらにとんでもない局面を向かえていることは間違いない。


その大きな変化が
とりかえしのつかない変化なのか
それとも見知らぬ未来につながるものなのかどうかは
まだ判断保留にしておきたいけど、ぼくは。


かつて
ジーン&フランチェスカのこのアルバムに出会ったとき
ふたりの小さな小さな、
それでいて大切なものにやさしく触れるような歌声は
「あ、これは家で聴かなくちゃならない!」と
一瞬でぼくに判断させた。


彼らは携帯されるための音楽を作るのではなく
音楽の中に
自分たちの描く世界を携帯していたのだと思う。(松永良平


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