June Christy ジューン・クリスティ / The Cool School

Hi-Fi-Record2009-04-28

海の向こうで大流行しようとしている病気のニュースで
何となく気が重い。


ぼくたちの仕事は
アメリカにレコードを買付に行くことが
重要な生命線のひとつだ。
不安をあおりたくはないけれど、
この先、アメリカや中米への渡航が制限とか禁止とか
そういう事態に陥ることを考えないでもない。


そんなことは起こらないと信じているが、
もしそうなってしまったら
レコードの仕入れが滞るということももちろんだが、
大好きなレコード屋
レコード人間たちに会えなくなるかもしれない。
それはまだ勘弁してほしいのだ。


アメリカのレコード屋の店主は、
いや正確には、
ぼくの好きなアメリカのレコード屋の店主は
ぼくからしたらこの道の大先輩ばかりだ。


また、
単にキャリアが長いというだけでなく、
心から「先輩!」と慕いたくなるムードというか
器量を持っている。


人間的には決して外交的と言えないし、
立派なおとなには見えないかもしれないが、
そんなこと全然関係ない。


ありふれたレコードもレアなレコードも分け隔てなく扱い、
自分の手と目と耳と言葉で
それを特別なレコードに変えてしまう。


彼らがいる店は
世界にひとつしかなく、
彼らが売るレコードはそれぞれ
世界に一枚しかない。


そう思わせる魔術。


その魔術を
ぼくはまだ学びきっていない。
まだこのクールな学校をやめられないし、
やめたくないのだ。


というわけで、
これからこのブログで連載を始めたいと思う。


大好きなアメリカのレコード店
レコード人間たちを書き記しておきたい。


動機のひとつは
上に書いたようなこと。
今、書いておいた方がいいような気がしている。
あのときは何だか緊張してたね、と
あとで笑い話に出来たらそれはそれでいいじゃないか。


以前、ハイファイのメールマガジンに毎回掲載されていた
大江田さんの書く買付日記に
おもしろさの点で敵うかどうかはわからないけど、
ぼくだから書けることもあるはずだ。


ぼくがこのブログを担当する週に3日の
毎日を連載に当てられたら本望だけど、
なるべく頑張ってみたい。


それから、
もうひとつの動機は
大江田さんの編集で昨日オープンしたこのサイト
すごく充実した内容に対して
ぼくとしてはちょっとライバル心を燃やしているのだ。


それもまた
B型の性分かもしれない。


タイトルはもう決めてある。


The Cool School


ジューン・クリスティの大好きなレコードからいただいた。
では、次回から。(松永良平


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