Sunday Manoa サンデイ・マノア / Hawaiian Time
今日、みえたアメリカ人観光客のお客様。
ニューヨークの生まれ育ち。このところ10年程はオランダのアムステルダムに住んでいる。こんなレコード、あんなレコードは無いかしら?というので、渋谷の他店の地図を書いて教えてあげると、それが皮切りにひとしきり会話が弾んだ。
カリフォルニアでレコードを探したのが、楽しかったなあ。10年くらい前のことだね。サンフランシスコが好きで、ロスアンジェルスは嫌い。
わかる気がするよ。ぼくもサンフランシスコが好きだ。
ああ、サンフランシスコのあの店、ヘイト・ストリートのあのちょうど角のところの、あぁ、名前が出てこないなあと、残念そうに上を向く。山ほど買っちゃってさ、ニューヨークの家に、送ったんだよ。
アムステルダムには、良いお店があるの?と聞くと、そうだね、一軒ある、と言う。店に入ると、上から下までレコードが積んであって、なにがどこに有るか解らない。そのうちに探す気持ちも失せて来ちゃう。でね、年老いた店主に話しかける。10分か、15分か、オールド・フレンドみたいに親しくなって来たら、このレコードないかなあと彼に訊ねる。
すると店主は、ああ、あれはどこだったけ、そうだ、ここだと探し始める。それでに数分もしたら、さあ、どうぞと出てくるんだよ。
彼の頭の中にコンピューターがあるってこと? そうそう、その通り。面白い店なんだ。
これからどこに行くのかって? 東京に8日ほどいて、それから大阪、京都、そして札幌に行くんだ。お金持ちだなんて、とんでもないよ。旅行が好きなんだよ。
こんな会話をしている後ろにかかっていたレコードは、サンディ・マノアのハワイアン。今日は暑い。ちょっと頭がぼぉっとするこの空気は、ハワイみたいだ。
ホンの一瞬、ワイキキの冷房(ハワイの冷房はきつい)の効いたロコがいっぱいのカフェの片隅で、偶然に知り合った旅行者同士が語り合っているような、そんな気分。(大江田信)