Sonny Kamahele ソニー・カマヘレ / MIne : Til The End Of Time
クルーナー・タイプの小粋でいなせなヴォーカル。ファルセットぎりぎりの音程も上手い具合に地声を保っているあたり、ファルセットの美声を善しとするハワイアンの伝統とは、少し違う美意識を感じさせる。それがソニー・カマヘレのマナーなのかも。
1950年代から60年代くらいの時期のハワイアンたどると、そこにはジャズが見えてくる。
なんてことを思いつつ聞くには最高のアルバムだ。ジャズの気分で聞くハワイアンが、上手い具合に混ざり込んでいる。
当時の最先端の音楽がジャズだったからハワイアンにもジャズが混ざり込んだ、あるいは本土からの観光客を受け入れるためにジャズ風味を下敷きにしたハワイアンが生まれた、あるいはハワイのミュージシャンが本土の出て行くための身のこなしとしてジャズが必携だった。そのどれもが間違った推測ではないと思う。ハワイアンの奥の細道には、ジャズがある。
年齢を経た味わいの声が、リラックスを誘う。
もともとソロ・アルバムの多い人ではない。ラク〜な気分が流れ出す。これからの時期に最高の一枚。(大江田信)