New Lost City Ramblers / 20 Yearts : Concert Peformances

Hi-Fi-Record2009-06-05

 先日、高田渡さんの息子さん、漣さんにインタビューする機会があった。
 どんなお話を聞いたのか、それはインタビュー記事が出る前にここに書くことはできないが、記事の主旨がお父さんの渡さんのことだったので、ずいぶんと昔話を聞いた。
 ボクの方からは、お宅にお邪魔する度にレコード棚を端から端まで覗いていたことを話した。高田家のレコード棚にとても興味があったのだ。そのうち、じゃあ、これを聴いてみようかとなって、レコードを聴かせていただくのが愉しみだった。


 そんな中で渡さんに教えて頂いたのか、それとも音楽雑誌「ポップス」に連載されていた記事を読んで既に自身で購入した一枚を持っていたのか、レコード棚に複数のニュー・ロスト・シティ・ランブラーズのレコードを見かけてうれしかったことを覚えている。


 ニュー・ロスト・シティ・ランブラーズは、50年代のリヴァイヴァル・フォーク期に端を発したグループで、戦前から戦後にかけて録音された78rpmに収録された音源を多く再演した(そういえば今年にでも来日をという企画があったのだが、その後はどうなったのだろう?)。
 グループ名に「Lost City」という言葉が入っているからだろう、彼らの音楽にどこかしらロマンチックな気持ちを持って来た。日本語に正確に訳すとどのようなニュアンスになるのだろう。「失われた都市」という訳でいいのだろうか。「Lost」という言葉に、追いかけても追いかけきれない逃げ水のようなイメージを、ボクは持つ。彼ら自身も、どこかで「Lost」した音楽を追いかけている気持ちを持っていたのだろうか。
 いや、案外と過去にLost City Ramblersというバンドが既にあり、そのバンドの意を汲んで新版として音楽活動をしているんだ、ということなのだろうか。ニュー・クリスティ・ミンストレルスのように。


 かつてボクは彼らのレコードをせっせと集めていた。会社勤めを始め、その熱も失せてしまった頃になって、こんなレコードが発表されていた。
 学者っぽさというか、真面目な学徒といった趣をぬぐい去ることが出来ない彼らの演奏にあって、こんなにくだけた場面があったんだという思いを持って、このアルバムを聴くことになった。それも今頃になってのことなのだが。(大江田 信)



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