Kenny Rankin ケニー・ランキン / Like A Seed
ケニー・ランキンが、肺がんによる合併症でによって6月7日にロサンゼルスの病院にて息を引き取ったそうだ。享年69歳。
5年程前だったか、来日ライヴを聞いたことがある。
いかにも洒落た伊達男で、気難しい気分屋さんに見えた。目前の女性に向かって歌いかけているようで、それも熱心に口説いているかに見えた。
そう見えたのも、あながち間違いではなかったらしい。気分屋かどうかではなくて、女性に向かって歌いかけている風だった、という後者なのだが。
ライヴ会場となっていたクラブのフロアーとして働いていた友人に話を聞くと、これと決めた女性に歌いかけ、終演後に彼女を誘って、毎晩のように飲みに出かけていたらしい。もちろん毎晩、もちろん違う女性と。
本当だとしたら、うらやましい話だと思った。微笑ましいとも思った。
生ける原動力を女性に求める音楽家、なんて大げさか。いや、意外と真実かもしれない。
そんなことを思い出しながら、今一度レコードを聴こう。
それにしても、彼の音楽はストイックでつつましい。
こういうことって、あるんだなと思う。(大江田 信)
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