センチメンタル・シティ・ロマンス / ホリディ

Hi-Fi-Record2009-06-13

 こうしてブログを書いていると、僕がそのレコードを好きか、嫌いか、そんなことを記してもしょうがない、そんな気持ちになる。


 だからといって嫌いなレコードについて書いている訳ではない。もちろん好きなレコードのことを書いている。
 

 そんなことをぐるぐる考えているときに、こんな文章を読むと、思わず笑っちゃう。共感すると同時に、巧みな言い回しに唸らされる。「読みたいけれど読みたくない。でも読む。ああ読んじゃった」。そういうことってある。ああ、確かに。


 孤高のアーチストの音楽はおもしろい。それは認めます。例えばグレン・グールドの面白さと不思議さ。行き着く果てがないかもしれない。


 しかし、ぼくが興味を引かれる音楽に共通するきっかけは、"共生感"なのかもしれないと、このところ思うようになった。


 センチメンタル・シティ・ロマンスは、日本におけるウエスト・コースト・ロックの先駆的なバンドだ。
 イーグルスが武道館で「We're Eagles From Los Angels」と開口一言、コンサートをスタートしたその頃、こんどはセンチメンタル・シティ・ロマンスによる日本語のロックが聴こえてきた時に、ああ、同じ時代を生きている人たちなんだなあと強く思った。ぼくと地続きの人たちなのだと思ったのだ。


 こうして何十年ぶりかに彼らの音楽に耳を傾けていると、胸の奥の方にうずくものがある。懐かしさとか、そういう気分ではない。
 センチメンタル・シティ・ロマンスは、"ウエスト・コースト"という言葉と不可分だった。ウエスト・コーストのロックには、理想が宿っていると僕らは思っていた。


 音楽にリアリティを与えるものって、いったい何なんだろう。
 日本とウエスト・コーストをアナロジーする「ロマンス航路」を聞いていたら、そのサウンドの輝きに、なんだかやたらとグッときてしまった。(大江田信)


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