Andre Kostelanetz and His Orchestra / For The Young At Heart

Hi-Fi-Record2009-06-17

 アメリカでイージー・リスニングのコーナーでレコードを探して いると、おびただしい数のアンドレ・コステラネッツのLPと出会う。
 同一アルバムが複数枚ストックしてある、という意味ではない。 おびただしい種類のタイトル数と出会うという意味だ。


 どうしてこんなに多くの種類のアルバムをリリースすることが出 来たのか、それが長いあいだ不思議だった。
 その答えのヒントが、こんな説明に隠されている。



アンドレ・コステラネッツ(Andre Kostelanetz, 1901年12月22日 - 1980年1月13日)は、指揮者・編曲家。通俗名曲を得意とし、イージーリスニングの先駆けとなった。
ロシアのサンクトペテルブルクに生まれ、当初はピアニストを目指していた。1922年にアメリカ合衆国に亡命。1920年代前半にラジオ番組の指揮者を務め、1930年代にCBSラジオで自身の番組「アンドレ・コステラネッツ・プレゼンツ」を持った。
大衆のためにいわゆるライト・クラシックの編曲や録音を行なったことで有名となり、オペラのアリアに加えて、ポピュラー音楽やミュージカル、映画音楽の名旋律も大オーケストラ用に仕立て直して演奏・録音した。その活動期間におびただしい数の録音を残し、5000万枚のレコードを売り上げた。これらの録音は、ラジオ放送の「器楽による名曲演奏」の典型といってよい。(Wikipediaより)



 すなわち彼は、ラジオの時代の大スターだったのだ。
 当時のメジャーなラジオ局のひとつ、CBSで自身の名前を冠した番組を持っていたことが、彼の人気を作り支えた。


 ウィキペディアの説明にもう少し解説を加えるとすれば、1920 年代はアメリカのラジオの黎明期。30年代に入って広くラジ オが普及するが、もちろんのことコステラネッツの番組は続いている。
 いつまで続いたのかは失念したが、いわゆるゴールデン・エイジ・オブ・ラジオと呼ばれる30年代から40年代にかけての黄金期に、CBSの看板番組を支えた音楽家のひとりだ。


 その当時にラジオのスピーカーの前でワクワクしながらひと時を過ごした世代、その彼らが自分のお金でレコードを買えるようになったのが50年代、60年代だったとするならば、コステラネッツのアルバムが、これほどに多く見られることの 説明になる。


 コステラネッツのサウンドは、華やかできっぱりとしたメリハリが有る。ロックの時代になっていっても、それと拮抗し合うかのように、力強い響きが込められている。そしてせめて3分強程度のタイミングで終わる。もっと短いものもある。コンパクトなまとまりに徹している。このあたりは、ラジオの時代に培ったノウハウかもしれないと思う。


 このほか、クラシックを目指していたキャリアを持つ、東欧の出身など、アメリカに於けるイージー・リスニング・ミュージックの興隆を探る際のキーワードが、彼のプロフィールにちらばっている。(大江田信)



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