Bob Kerr’s Whoopee Band / Making Whoopee

Hi-Fi-Record2009-06-20

 ボブ・カーズ・フーピー・バンドのメイキン・ウーピーを聞いていたら、耳覚えのあるメロディ、というか馴染みのあるコード進行が流れてきた。
 ジャケットを見たら、「ドクター・ジャズ」と書かれている。ドクター・ジャズと言えばと思い出したのが、ケイシー・アンダーセンのアルバム「More Pretty Girls Than One」だ。


 さっそく聞き比べて見る。


 もともとは1920年代に書かれた初期ジャズの隠れたスタンダードの一曲で、多くはディキシーランド・スタイルのコンボで演奏されたらしい。
 この種のレパートリーには、同様のコード進行の曲が山ほどあり、あれと思ったらこれだったり、これと思ったらあれだったりすることも多いが、いずれもなんだか切迫するエネルギーが込められている。そこがいい。


 マジメに?メロディをトレースするケイシー・アンダーセンに比べると、ボブ・カーズ・フーピー・バンドの場合は、音楽が内側から壊れていくような瞬間が有る。それが彼らの音楽の妙味になる。ただしもちろん、壊れきってしまうわけでもない。
 爆発しそうなエネルギーがうねる。それが初期ジャズの魅力だし、ボブ・カーズ・フーピー・バンドの面々は、そのあたりをよく解っているのだろう。僕にはそれが面白い。(大江田信)


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