Bob Kerr’s Whoopee Band / Making Whoopee
ボブ・カーズ・フーピー・バンドのメイキン・ウーピーを聞いていたら、耳覚えのあるメロディ、というか馴染みのあるコード進行が流れてきた。
ジャケットを見たら、「ドクター・ジャズ」と書かれている。ドクター・ジャズと言えばと思い出したのが、ケイシー・アンダーセンのアルバム「More Pretty Girls Than One」だ。
さっそく聞き比べて見る。
もともとは1920年代に書かれた初期ジャズの隠れたスタンダードの一曲で、多くはディキシーランド・スタイルのコンボで演奏されたらしい。
この種のレパートリーには、同様のコード進行の曲が山ほどあり、あれと思ったらこれだったり、これと思ったらあれだったりすることも多いが、いずれもなんだか切迫するエネルギーが込められている。そこがいい。
マジメに?メロディをトレースするケイシー・アンダーセンに比べると、ボブ・カーズ・フーピー・バンドの場合は、音楽が内側から壊れていくような瞬間が有る。それが彼らの音楽の妙味になる。ただしもちろん、壊れきってしまうわけでもない。
爆発しそうなエネルギーがうねる。それが初期ジャズの魅力だし、ボブ・カーズ・フーピー・バンドの面々は、そのあたりをよく解っているのだろう。僕にはそれが面白い。(大江田信)