Tony Perkins トニー・パーキンス / On A Rainy Afternoon
このレコードのことに触れるのは、二回目。
一回目は、こんな風に書いた。
雨の日になると思い出すレコードのひとつ。いや、一番好きなレコードかもしれない。
今日の渋谷は雨模様だ。朝からずっと降っている。
雨の日。格別の用事もないし、家を出るのが億劫だなという気分。そんな気分と絶妙に響き合う音色の音楽、と思う。
ぼんやりと本を読んだり、レコードを聴いたり、お茶を入れたり、メールを書いたり。
この所、むやみやたらと励ましてくる歌には、どうも気持ちが向かわないから、かもしれない。夢とか希望という言葉に、気持ちが反応しなくなって来た。自分に夢とか希望が無い訳ではない。傍若無人に他人を巻き込むようにして語られる夢や希望に、それがどうして無条件で正しく是とならなければならないのか、ちょっと説明してからにしてくれよと、とぶつぶつつぶやきたくなる。いや、説明されても耳を貸さないかもしれないが。
なにかを覆い隠すために、夢とか希望という言葉が不用意に使われている気がしてならないのだ。
そんな気分の時に、このトニー・パーキンスのジャケットの出で立ちを見ると、どうしようかな、家を出て街を散歩でもしようかなと、ふと思う。ちょっと気持ちが明るくなる。
大きめのダブっとしたステンカラーコートがいいし、赤いボタンダウンもいい。なにしろ傘をささずに微笑みながら並木道を歩いている様が、とてもいい。僕は、傘嫌いだ。
秀逸の「雨の日ジャケ」と思う。(大江田 信)
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