Simon And Garfunkel / Parsley, Sage, Rosemary, And Thyme

Hi-Fi-Record2009-07-22

 先週末の新聞にウォルター・クロンカイトの死亡記事が掲載されていた。1962年4月から81年3月までアメリカのテレビネットワークのひとつ、CBSニュースのアンカーマンを務め、リベラルな姿勢からアメリカの良心と言われたジャーナリストだ。
 記者から上がってくる原稿を読みつつ、時には自身のコメントを加え、ニュース番組の全体をまとめるアンカーマンのスタイルを作った人と言われる。ニュースをスタジオではなく報道局から伝えたのも、彼が最初だったらしい。


 クロンカイトは必ず「And that's the way it is」と、言って番組を終えた。これは名セリフとして、今も語り継がれている、と書かれていた。「今日はこんなところです」という意味と、翻訳が添えられていた。
 これを読んで、僕は、ああ、そうだったのか!と、思った。


 ソフトロックなコーラス・グループとして知られるArborsを代表する一曲に、そのまま「That's the way it is」をタイトルにする素晴らしい曲がある。これっていったい、どんな意味なんだろうと、思っていたのだ。記憶の隅に残っていた。
 

 こんな例もある。
 「How does it feel?」は、出会った時に使われる。「How are you?」と同じような意味だろうと思う。ご機嫌いかが?
 「Take it easy」は、別れぎわに使われる。じゃあ、元気でねといったような意味なのだろう。
 ともに有名な歌の一節に印象的に配されている言葉だ。
 そして二つとも、そのまま直訳しても意味をなさない、使われ方の中で意味を発する、いかにも英語的な言い回しだろうと思う。


 サイモンとガーファンクルの「7時のニュース」。ラジオ・ニュースの声をバックに、ふたりが「きよしこの夜」を歌う。アルバム「パセリ・セージ・ローズマリー・アンド・タイム」の最後に収録されている。
 このニュース原稿を読んでいるのが、ウォルター・クロンカイトだと、これも初めて知った。
 同曲が録音された1966年8月に、事前の3ヶ月間ほどのニュースからポール・サイモンが選び出して原稿にまとめ、それをクロンカイトに読んでもらったと言う。
 同時代のアメリカで、このアルバムを手にした人々の多くは、誰に言われるともなく、クロンカイトの声と理解して聴いていたに違いない。(大江田 信)


Hi-Fi Record Store