Buddy Rich バディ・リッチ / The Driver
ライヴでのパファーマンスでは、並のロック・バンドは蹴散らされたという、高速バチ捌きといえばこの人、ジャズ・ドラマー、バディ・リッチ。
本日の一枚「The Driver」は1960年に録音され、お蔵入り。数年後に改めてリリースされたアルバム。
本作のポイントはやっぱり、ヴィヴラフォン奏者のマイク・マイニエリかも。ギターの代わりとはいえ、サウンドの印象はがらりと変わる。ギターが感性なら、ヴィヴラフォンは知性、みたいな。ありきたりな例えですが。
知性を帯びた暴力、クリント・イーストウッド的、なんて言っていいでしょうか、とにかく口を開けたまま痺れっぱなしの作品なのです。
ド頭、冒頭を飾るナンバー、なんとそのタイトルは「Brainwashed」!
洗脳!
頭かち割って、脳みそ取り出して、洗っちゃうよ!
マインドコントロール、ロボトミー、オルグ…。"洗脳"と似た横文字の外来語はあれど、やっぱり直訳の
ブレインウォッシュ! これに勝るエグい言語はないでしょう。
しかし、このインパクト。「brain」と「wash」をそのままくっつけるセンス…。
うむむ…この造語感覚は"英語"らしからぬな…(※英検3級)、と思い、ウィキペディア(※通例)で語源を辿ると、
「朝鮮戦争時(※1950〜1953)の捕虜米兵に対して共産主義を信じることをせまった行為を中国共産党が洗脳と呼んでいたのを訳してbrainwashingと名付けられた」とのこと。
「洗脳」って割と新しい言葉だったのですね。てっきり、昔からある言語だと思ってました。
話は戻って「Brainwashed」。
"洗脳"というタイトルですが、妖しげで独創的なフレーズと並々ならぬ緊張感こそあれど、禍々しい感じは皆無で、むしろノリノリ。火の出るような高速アンサンブルが楽しめるナンバー。
ノリのいい音楽を聴くと周りの人が幸せに見える、との研究結果も出てるみたいだし、一度だけならバディ・リッチに洗脳されるのもいいかも。自分も周りの人もみんなハッピー・ハッピーですよ。
上の研究結果でひとつ気づいたことがある。
クラブに行っても、いまいちなんだか楽しめない。そんな時は周りの人が幸せに見えて仕方なく、参っているか、妬いているか、そのどちらかだということ。
あぁ…
あるある(泣)。
※曲名は「brainwash」でなくて、「brainwashed」(過去形)でした。失礼しました。
(藤瀬俊)