Bobby Timmons ボビー・ティモンズ / Little Barefoot Soul

Hi-Fi-Record2009-10-02

The Cool School 68 激しい雨が その1


東海岸のディーラーが
一念発起して店を開けた。


開店祝いというわけではないけれど
いいものを持っている男なので
しこたまレコードを掘り出していたら、
ひょんなことを訊いてきた。


「ところで、●●●●の街には行ったことある?」


ここから2時間ぐらいの街だが、
レコード屋なんてあったっけ?


「一軒だけあるんだけど、
 おまえたちみたいにオブスキュア(わけわかんない)なのが好きなら
 絶対いろいろ買えると思うぜ。
 ウシシシシシシ」


最後の含み笑いが気になったが
信用の出来る男の言うことなので
その次の渡米で訪ねてみることにした。


その日は朝から激しい雨が降っていた。


「あ、あったあった! “RECORD”って書いてありますよ」


高速を降りて入った市街地のはずれに
その店はあった。
建物の脇に車を停めて
雨の中、
ヒー!と叫びながら店の中に駆け込んだ。


うお。
一時停止。


店の中は
なかなかにざっくばらんな感じだ。


仕切りや柱のないだだっ広い空間の真ん中に
レコード棚が背中合わせに2列。
あとは壁際にずらっとレコードが立てかけてあった。


「ジャンル分けとかはあるのかな……?」


おそるおそるレコードをめくってみると
どうやらぼんやりとジャンルやA to Zはあるらしい。
しかし何だかジャケもレコードもくたびれた感じだ。


店内にはBGMもなく、
アメリカ人コメディ俳優ウィル・フェレルに似た中年男がいて
携帯を片手にうろうろと歩き回りながら
べらべらと大声でまくしたてていた。


パーカーをだらしなく着込んで
その下は半ズボン。
なんだかいやな感じの客だ。


うーん。
雰囲気、
わるうござんす。


奥には階段があって
地下に降りれそうな気配。


ディーラーの彼は
地下に掘り出し物があるはずだとも言っていた。


一階はあんまり期待出来なそうなので
さっさと地下でも見ようと手すりに手をかけたその矢先、


「待て!」


なんとその声の主は
さっきのウィル・フェレルだった。


え?
あんた、この店のひとだったの?(この項つづく)


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明日(10/3)になりますが
恵比寿のカフェtenementにてDJをします。


タイトルは「GARDEN」。


夜8時より夜中の2時まで
4人のDJがお茶やお酒やお食事のお供をします。
おひまな方
お近くの方
いろんな音楽をゆっくり楽しみたい方、
ご興味ありましたらお誘い合わせの上どうぞ。


チャージはフリー。
オーダーのみうけたまわります。


で、ガーデン(庭)な感じのジャケを探したら
庭というより草むらになってしまいました。


しかし、とても好きなジャケと
とても好きな音楽です。(松永良平


試聴はこちらから。