Peggy Lee ペギー・リー / A Natural Woman

Hi-Fi-Record2009-10-18

The Cool School 75 For You All Mad Record Dealers


ハイファイに久々に見えたお客さんに
「松永さんの寝グセを見に来ました」と
言われてしまった。


げげ。


身だしなみには気をつけているつもりなのだが、
どうもそこまで気をつけきれていない。


これはひとえに
お手本が悪いのだ。


お手本と言っても
大江田さんのことを言っているわけではない。
アメリカのレコード店主たちのこと。


あいつら、
朝から髪に櫛いれたりするんだろうか?


着の身着のままでOKという感覚は
中古レコード屋に限った感覚ではなく、
ニューヨークみたいな大都市を除けば、
だいたいひとの目なんか気にして暮らしてるやつはいないのだ。


髪なんかもさもさのわしゃわしゃ放題、
服はよれ放題のズボンは下がり放題(それは言い過ぎ)、
おまけに好きなことだけして暮らしてるから
カロリー過剰な太り放題。


買付に行ってる間中、
そういう連中と付き合っているのだから
こっちの感覚も麻痺してくるのだ。


というわけで
みなさん、
わかりましたか?


ぼくの寝グセは
輸入モノなんですよ。(この項おわり)


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今日は上が短いので
下を少し長めに。


ある雑誌に
ロックに遠からず影響を与えた
20世紀のミュージシャンたちを紹介するという記事を書いていたことがある。


いよいよペギー・リーを紹介しようと思っていたら
その矢先に連載が終ってしまった。
残念至極。


ペギー・リーは
ポピュラー・シンガーたちがロックに押されて
仕事場を失ってゆくという恐怖におびえていた時代に
そうした若い世代の楽曲を積極的に歌っていったひとだ。


ランディ・ニューマン
ケニー・ランキンの曲を
彼らが有名になる前に
作家として注目して歌っている。


キンクスのレイ・デイヴィスが書いて
キンクスではレコーディングしていない
「アイ・ゴー・トゥ・スリープ」なんて曲も60年代に歌っている。


そんなのプロデューサーが押し付けただけだろと思われるかもしれないが、
彼女の場合はそれは違いそうなのだ。


主張の強い女性であった彼女は
楽曲の選択についてもかなりの決定権を持っていたのではないかと
ぼくは見ている。


洋書で分厚い伝記本が出ていて
とてもおもしろそうなのだが
まだ手が出せずにいる。


枯れ草の中にたたずむ彼女が
ランディ・ニューマンの歌を
「今日は雨になりそうね」と歌っている姿を思い浮かべると
ぼくはいつでもすぐにゾクゾク出来る。(松永良平


試聴はこちらから。