Jesse Ed Davis ジェシ・エド・デイヴィス / Jesse Davis

Hi-Fi-Record2009-10-30

The Cool School 80 トイレの●ース


買付で何度も通う店と親しくなると
従業員用のトイレとかを
特別に貸してもらえるケースも増えてくる。


普段はオープンにしてない場所だから
なんとなくプライベートな感じがあったりして
結構楽しい。


家族の写真があったり、
雑然と読みかけの雑誌や新聞が積んであったり、
中には、日本には輸入出来ない類の雑誌(察してください)もあったり。


瀟洒な街にある
ちょっと高いけど
コンディションはばっちりのレコード屋
トイレを貸してもらい
用を足している最中に
気になる写真を見つけた。


おじいさんの写真だな。


だらしなくセーターを着て
頭にはこれまただらしなくバンダナふうの巻物をして
そこから逆立った髪が飛び出していて
顔面はしわくちゃ。


ふうん。
このひと、
マーシークロマニヨンズ)みたいだな。


いや待てよ、
これはマーシーというか、
あのひとだろ。


キー●だよな?


気になってしょうがなくなってきて、
手を洗ってから
もう一度じっと写真を見つめてみた。


あらま、
これ●ースだわ。
キ●ス・リチ●ーズだわ。


しかし、すごいしわ……。
ステージで見るのと
えらい違い。


きっとレコード屋にきたときの●ースって
完全に気を許しちゃって
見られてるって意識がゆるんじゃってて
こういう顔になっちゃうのかな。


それとも
この店だから許せた顔?


トイレから出て来て
ぼくが店主の顔を不思議そうに見るものだから
そのうち彼もぼくがトイレで見たものに気がついたらしく
「ダハハハハハ」と笑いながら肩を叩いて来た。


「すごいだろ」とか
そんなことはこのおやじは言わない。
というか
「どうだ!」みたいに
店に貼り出したとしてもおかしくないくらいのお宝写真を
彼はトイレに行くときだけ眺めることにしているのだ。


それとも
トイレを貸してもいいと
彼が認めた客にだけ見せる素敵なサプライズ?


まあ何だっていいや。
以来、
この店に行ったときは
出そうじゃなくてもトイレを借りることにしているのです。
ぼくなりの縁起かつぎです。(この項おわり)


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ジェシエド・デイヴィスの
このファーストのイラストを描いているのが
彼のお父さんであることは知っていたが、
うっかり思い至らなかった部分がある。


お父さんの名前は
ジェシエドウィン・デイヴィス二世。
息子の名前は
ジェシエドウィン・デイヴィス三世。


お父さんが息子を描いたにしては
この絵柄は老けている。
本人(お父さん)の格好にしては
トラディショナルなネイティヴ・アメリカンすぎる。
自画像というものはあってもいいけれど、
それにしては
こういう構図で自分を描くものだろうか?


つまり、
ひょっとしてこれは
ジェシエドウィン・デイヴィス二世が
ジェシエドウィン・デイヴィス一世を描いたのではないかと。


だからこそ
三世はこの絵を
自分の源流を示すメッセージとして
自分のデビュー作に使いたかったのではないかと。


なんて、
今日突然思ったのですが、
いかがでしょうか?


まあ、また適当な酔狂を
言っておるぞと。(松永良平


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