Jesse Ed Davis ジェシ・エド・デイヴィス / Jesse Davis
The Cool School 80 トイレの●ース
買付で何度も通う店と親しくなると
従業員用のトイレとかを
特別に貸してもらえるケースも増えてくる。
普段はオープンにしてない場所だから
なんとなくプライベートな感じがあったりして
結構楽しい。
家族の写真があったり、
雑然と読みかけの雑誌や新聞が積んであったり、
中には、日本には輸入出来ない類の雑誌(察してください)もあったり。
瀟洒な街にある
ちょっと高いけど
コンディションはばっちりのレコード屋で
トイレを貸してもらい
用を足している最中に
気になる写真を見つけた。
おじいさんの写真だな。
だらしなくセーターを着て
頭にはこれまただらしなくバンダナふうの巻物をして
そこから逆立った髪が飛び出していて
顔面はしわくちゃ。
ふうん。
このひと、
マーシー(クロマニヨンズ)みたいだな。
いや待てよ、
これはマーシーというか、
あのひとだろ。
キー●だよな?
気になってしょうがなくなってきて、
手を洗ってから
もう一度じっと写真を見つめてみた。
あらま、
これ●ースだわ。
キ●ス・リチ●ーズだわ。
しかし、すごいしわ……。
ステージで見るのと
えらい違い。
きっとレコード屋にきたときの●ースって
完全に気を許しちゃって
見られてるって意識がゆるんじゃってて
こういう顔になっちゃうのかな。
それとも
この店だから許せた顔?
トイレから出て来て
ぼくが店主の顔を不思議そうに見るものだから
そのうち彼もぼくがトイレで見たものに気がついたらしく
「ダハハハハハ」と笑いながら肩を叩いて来た。
「すごいだろ」とか
そんなことはこのおやじは言わない。
というか
「どうだ!」みたいに
店に貼り出したとしてもおかしくないくらいのお宝写真を
彼はトイレに行くときだけ眺めることにしているのだ。
それとも
トイレを貸してもいいと
彼が認めた客にだけ見せる素敵なサプライズ?
まあ何だっていいや。
以来、
この店に行ったときは
出そうじゃなくてもトイレを借りることにしているのです。
ぼくなりの縁起かつぎです。(この項おわり)
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ジェシ・エド・デイヴィスの
このファーストのイラストを描いているのが
彼のお父さんであることは知っていたが、
うっかり思い至らなかった部分がある。
お父さんの名前は
ジェシ・エドウィン・デイヴィス二世。
息子の名前は
ジェシ・エドウィン・デイヴィス三世。
お父さんが息子を描いたにしては
この絵柄は老けている。
本人(お父さん)の格好にしては
トラディショナルなネイティヴ・アメリカンすぎる。
自画像というものはあってもいいけれど、
それにしては
こういう構図で自分を描くものだろうか?
つまり、
ひょっとしてこれは
ジェシ・エドウィン・デイヴィス二世が
ジェシ・エドウィン・デイヴィス一世を描いたのではないかと。
だからこそ
三世はこの絵を
自分の源流を示すメッセージとして
自分のデビュー作に使いたかったのではないかと。
なんて、
今日突然思ったのですが、
いかがでしょうか?
まあ、また適当な酔狂を
言っておるぞと。(松永良平)