Guy Van Duser / Finger Style Guitar Solos

Hi-Fi-Record2009-11-05

 ガイ・ヴァン・デューサーのアルバムを聴きながら、例えばここに収録されている「Chattanooga Choo Choo」を聴いていると、なんだかいとも軽々と楽しげに弾いている様に感服してしまい、これはぜひにと友人のギタリストの所に持参した。
 参考にしてみたらと言って渡した。まあ、ホントーのことを言ってしまうと、ちょっとコピーして、演奏して見せてくれないかなあ、という気持ちもあった。どんな風に弾いているのか見たいと思ったし、彼の耳ならば苦もなくコピー出来るのだろうと思った。


 すると、曰く、これは簡単じゃないよ、オレはこんなに巧く無いよ、という言葉が返って来た。彼の言うことから察すると、ガイ・ヴァン・デューサーは、さらっと演奏しているように聞こえて、相当に高度なことを演っているということのようだった。


 ガイ・ヴァン・デューサーのギタープレイは、アコースティック・ギターを弾くフォーク系のギタリストに馴染み深い3フィンガー奏法が基本になっている。ジャズやロック系のギタリストには、ちょっと聴いただけでは右手の動きが想像しにくいかも知れない。
 ただし有り体の3フィンガー奏法とは違い、和声が複雑だ。4ビートの一拍づつコードを変えたりして、このあたりはジャズの知識が無いと出来ない。

 
 ちょっとコピーしてみろって言われてもさ、わざわざお前のためにか?一口でコピーって言っても、大変なんだよ、というあたりが彼の本音だったのかもしれないが、それにしても彼の言葉に含まれる同業の演奏家に払う敬意の一端を見た気がして、ぼくは面白かった。

 
 よく考えてみるとガイ・ヴァン・デューサーの前に、同種の演奏家はいないし、その後にも見当たらない。チェット・アトキンスやマール・トラヴィスの奏法に連なるものとは言え、単なる継承の粋を超えている。
 つくづく面白い演奏家だと思いつつ、アルバムのA、B面を通して聴いてしまった。(大江田信)



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