O.S.T. Fred Karlin フレッド・カーリン / Westworld

Hi-Fi-Record2009-11-06

The Cool School 83 ビッグ・ショー、スモール・ショー


アメリカのレコード・ショーって
大きい大きいって言うけど
どれくらい大きいんですか?


そんな質問を受けることがある。


はて?


大江田さんによると
かつて全米最大規模を誇ったレコード・ショーは
軽く体育館以上の大きさの建物に
百人以上のディーラーがテーブルを出していたという。


ただし、
そのショーも
近年は場所を移動し、
ちょっとスケールダウンしたという噂だ。


今、アメリカで一番勢いがあるといわれる
ニューヨークのとあるレコード・ショーは
ビル街の一画で
「え? こんな建物の中に広い場所あるの?」と
思うような入り口から入るのだが、
中は立派に広い。


と言っても
体育館とまではいかないか。


ただ、
レコード・ショーのおもしろさを決めるのは
もはや広さではなく
熱気だと思うので
狭い場所でも
さまざまな売り買いの声でひしめき合っていれば
それは立派なビッグ・ショーだと言うことが出来る。


小さなショーの話もしたい。


消防署の建物の一画を借りて行われるというそのショー、
たどり着いたのはいいが雰囲気がおかしい。


ざわついてないのだ。


近くまで行って
入り口から中を覗いた。


げげ。
中は狭いし、
テーブルが5、6個しかないぞ。


「なんだかダメそうですよ」と車の中で準備をしていた大江田さんに告げ、
とりあえずぼくひとり分の入場料だけ払って中に入った。


「ディーラーは少なくても良いレコードが多ければ呼びに行きます。
 ダメならそのまま車に乗って別の場所に行きましょう」


その結果は
数分で出た。


やる気の乏しいディーラーたちの
むなしい気分の展示会といった趣。
これじゃジャケも盤も
いつも以上にしなびて見える。


郊外で店を営む見慣れた顔のディーラーがいたので挨拶をしたら
不機嫌そうに何も言わない。
彼の持ってくるレコードは
たいてい何かしら買うものがあるのだが、
今回はここにも何もなさそうだった。


ダメだこりゃ。


一目散に逃げ出して
車に飛び乗った。
「次行きましょ、厄払いしましょ!」


翌日、
ショーで会ったディーラーの店に行った。
昨日のショーのことを告げると、
彼は「大惨事だったな、あれは!」と吐き捨てた。


まったく
あんな小さな大はずれショーで会うなんてなあ、
昨日は悪口が言えず我慢してたんだ。


口に出しこそしなかったけれど
彼の気持ちは痛いほどよくわかった。


むすっとしたまま
最後にニヤリと笑う。
このディーラーの愛すべきクセだった。(この項おわり)


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「ウェストワールド」、
昔はテレビの洋画劇場でときどきやっていたなと思い出す。


ぼくにとっては
ユル・ブリンナーは「王様と私」ではなく
この映画での壊れたロボット保安官のイメージがはるかに強い。


今度「バニシング・ポイント」もDVDになるんだが、
あれも最初に見たのはテレビだった。


思っているよりずっと多くの影響を
ぼくはテレビの洋画劇場から受け取っているんだなと
最近考えることが多い。


特に買付でサントラを探すとき。


そのせいか、
どうもなかなか洒落た品揃えになりにくいようでして……。(松永良平


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