Peace, Bread, & Land ピース、ブレッド&ランド / Bright New D

Hi-Fi-Record2009-11-07

 藤瀬クンのブログによると、ヒートテックのタイツを履くと、松永クンにいつも「モモヒキなんぞはきよって」と言われるのだそうだ。
 この一節の後にはちょっといい話が続くのだが、そちらはともかくとして、アメリカの寒さではモモヒキなんぞを履いていないとやっていられないという話。


 どうしてレコード・ディラーの倉庫は、あのように寒いのだろうか。
 お前があんまり寒がるから、今年は暖房器具をバッチリ二つ用意したからと言われて、倉庫に入ってみると、非力な温風機が床に置かれていた。え、これかよ、これで暖まれって言うのかよと思いながら見ていると、どうも一つが上手く動かないらしい。こりゃダメだな、こっちの動く方を使ってくれという。
 しょうがないなあと思いながら、僕は防寒バッチリのコートを着て、首筋ギリギリまでチャックを上げて、こすり合わせる手に息を吹きかけながら、あぁ、ありがとうと答える。松永クンが、大江田さん、これ使ってくださいよ、と言ってくれる。


 こりゃまた今年も寒い一日になるぞ、ヒートテックのタイツとシャツを着込んで来て良かった。
 防寒を怠って、ひどい風邪をひいて買付け先で寝込んだことがある僕は、それ以来、過剰なほどに防寒準備をする。効果一番のアイテムは、ユニクロヒートテック商品だ、と思う。
 ああ、それにしても、ここの倉庫は寒い。
 松永クンに申し訳ないなあと思いながら、好意に甘えてささやかなスイッチを最大にした暖房器具の風量を体に当てて作業をはじめたのだが、ふと気づくとディーラー氏は半袖のTシャツ姿、松永クンは言行一致、タイツ無しにGパンを履いている。ねえ、どうして貴方たち、そんな格好で寒く無いの?


 それにしてもこんなにイッパイ、どうして彼は、アメリカ各地の魅力的なローカル・アイテムを持っているのだろうと、ストックを見ながら思う。
 手をこすり合わせながら、抜き出した一枚。ふと胸いっぱいの深呼吸を誘うような、伸びやかでナチュラルな響きが聞こえる。ジャケを見ながら、いまこの時、ドアの向こうの外界がこんなに牧歌的だったらどんなにいいだろうにと思った。
 (大江田 信)


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