Bellamy Brothers / Featuring ”Let Your Love Flow”

Hi-Fi-Record2009-11-11

 松永クンの昨日のブログの続きを。


 僕の顔がアメリカ人に覚えがいいということについて、こと本人には自覚が無い。それともいうのも、彼らの日本人の顔をめぐる眼識について、いささか疑問を持つ場面に遭遇しているからだ。


 とあるショッピング・センターの片隅の店。老夫婦が経営していた。とにかくタバコ好きの夫婦のためにか、店の色んな場所に灰皿が置かれていて、そこにはフィルター近くまで吸い込まれたタバコが、いつも何本か放り出されていた。
 かつてハイファイで働いてた阿部クンと二人で、この店を訪問したときのこと、じゃあ、端から順に見るかということになり、長方形の対角線上に当たる場所に二人が位置して、店内のレコードを見始めた。


 とにかく大きな店なので、こうして自分の位置に付くと、阿部クンの姿はよく見えない。お互いにそれなりの親しみを持っていたこともあり、店主がタバコを片手に話しかけてくる。おおむね倉庫のレコードを見るかとか、まだ未整理なのだがつい最近に買い付けたレコードを見るかとか、これまでと同じような内容の誘いかと思ったら、その日ばかりは違った。


 阿部クンのことを横目で見ながら、彼はお前の息子か?と小さな声で尋ねられたのだ。
 ああ、確かに年齢差としては、そう見えてもおかしくないのだろう、とは思った。しかし顔が違うだろ、顔が。これがよく似るといわれる親子の顔か?と思いつつ、違うよと答えると、老店主は、そうかあ、じゃあ一緒に働いてるスタッフなのか?と重ねて聞いてきいた。ぼくは、そうだと答えた。


 手でレコードを繰りつつ、たぶん彼は我々の事を親子だと思ったに違いない、と感じていた。彼は、そっと声を潜めて聞いてきた。俺は気づいたんだ、そうだろ、お前達は親子なんだろ、とでも言いたげな口調だったのだ。
 違うと答えたぼくの回答の後に続いたのは、彼の長年の経営哲学というか、店の運営上のサジェスションだった。一緒に働くんだったら、女は駄目だ。男と働け。女は駄目だ。
 ふ〜んと僕は言って、またせっせとレコードを見始めた。
 店主は、店に入ってきた客の方にせかせかと近づいていった。


 それ以来、アメリカ人の彼らの我々東洋人の顔をめぐる見極めについて、ぼくはあまり信じなくなった。
 じゃあぼくの目はどうかというと、こちらも相当に怪しい。
 女性二人が働く店でのこと。あるとき年長の方の女性に、もう一人の彼女は貴方の娘か?と聞いて、いったいなんて事を言うの!まったく!あたしをいくつだと思っているのよ!と、怒らせてしまった。


 親子を判断するのは、難しい。

 
 ベラミー・ブラザーズ。
 彼らは、4つ違いの実の兄弟だと言う。ブラザーズを名乗っていても、実の兄弟とは限らないバンドやユニットは数多くある。確かにこの二人、似てると言えば似てるけれども、どっちなのだろうと思わず調べてしまった。となると、兄弟を判断するのも、難しいということになるのか。
 スマッシュ・ヒット、"Let Your Love Flow"こと、「愛はそよかぜ」がいい。(大江田信)


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