Ted Heath And Edmundo Ros / Heath VS. Ros Round 2

Hi-Fi-Record2009-11-14

 「Baby It's Cold Outside」というスタンダード・ソングがある。寒くなり始めた季節、ちょうど今頃の時期に思い出すことになる唄だ。


 男性と女性のデュエット・ソング。歌詞には、男性が女性に対して、「ねえ、外は寒いよ」と歌いかけるフレーズが印象的に配される。
 これを聴くたびに、男性が女性の家のドアの前で、ねえ、外は寒いんだ、家の中に入れてよと語りかけているシーンと思い込んでいた。勝手な想像だ。つまりムッシュの「ノー・ノー・ボーイ」なシチュエーションを、思い描いていた。


 ふと思い立って歌詞を読んでみると、何のことはない、主人公の二人は家の中にいるのだった。
 唄は二人の語りかけのみで進行する。ト書きに相当するフレーズは無い。
 女性は、そろそろ行かなくちゃと言う。お母さんが心配し始めるし、お父さんは家の中を行ったり来たりし始めるからと言う彼女。彼は、「外は寒いよ」と語りかける。


 その言葉が功を奏したのかどうか、彼女はなかなか自宅に戻ることが無い。そのうちに玄関ドアの内側で語り合っていたかに見えた二人が、場所を違えて語り合い始める。ソファーの上?それとも?
 おやまあ、どこに移動したのかなと思いつつ、最後まで聴くことになる。そんな仕掛けが用意されている唄だ。


 ふたりは20代の半ば位かも。たぶん男女に歳の差がある。男性が歳上だ。そして、少なくとも彼の家には、今、ママもパパもいないだろう。彼のアパートの一室かな、などとつい想像をたくましくしてしまう。おっと、仕掛けに乗ってしまった。


 収録アルバムを捜したら、テッド・ヒースとエドムンド・ロスの対決アルバムを店頭に在庫していた。
 チャチャチャにアレンジされていて、すごく明るい雰囲気。この二つのバンドによる演奏だったら、こうなるのもしょうがない。
 ドアを開けると陽光きらめく南国、みたいな熱いサウンドだった。(大江田信)


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