Andre Kostelanetz & His Orchestra/Kostelanetz Sound Of Today

Hi-Fi-Record2009-12-10

 アメリカの中古レコード店でポップ/イージーリスニングのコーナーを見ていると、必ずと言っていいほどアンドレ・コステラネッツのレコードと出会う。その数は、決して少なくない。


 自身の姿を映したアルバム・カバーによる作品もあるが、多くはイメージ写真を使ったもの。こうしてレコードを数多く残すことになった人気の秘密は、いったいどこにあるのだろうと思っていたのだが、どうやらそれは1932年にCBSラジオで始まった番組「アンドレ・コステラネッツ・プレゼンツ」を持ったことにあるようだ。ジャズ、クラシック、ミュージカル・ナンバーなどを、自身が指揮するオーケストラで演奏した。それは大変な人気番組だったという。
 番組は1930年代を通して放送され、40年代には「コカコーラ・ショウ」と続いた。こちらでは奥方のソプラノ歌手、リリー・ボンズと共演した。
 コロムビアでのレコード用音源の録音が始まったのも1940年代のことで、長く70年代まで続けられた。
 1980年1月13日に、79歳で亡くなっている。



 アンドレ・コステラネッツサウンドには、どれも冗長なところが無い。適度にドラマチックで、メロディを巧みに表現した3分内外の収まりのいいものがほとんどで、聞き終えてよどみが無い。スカッとしているのだ。
 金管楽器の響きを効果的に用いていることも、耳に残る。



 1950年代、60年代にアルバムを購入していた大人たち、少なくともまだまだ安い買い物ではなかったLPレコードを買うことが出来た人たちが、かつての少年時代、あるいは少女時代に熱心にラジオに耳を傾けて聞いたのがアンドレ・コステラネッツだったと考えてみると、数多いアルバムのリリースの謎も解けるというものだろう。
 コステラネッツの音楽の振る舞いは、ラジオ放送で身に付けた作法をまとっている。
 本アルバムに収録された「男と女」で聞かれるクッキリと立ち上がるメロディの響きも、その好例だと思う。(大江田信)
 

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