Stan Worth スタン・ワース / Caught Live Singin’ And Swingin’
「第三の男」に歌詞が付いて歌われるヴァージョンがあることを、このアルバムを聴いて初めて知った。
「第三の男」はウィーンのホイリゲでチター奏者をしていたアントン・カラスが、映画監督のキャロル・リードに乞われて映画音楽として作曲したもの。師匠と弟子の関係の中で伝承のメロディを伝え弾く事を良しとしたウィーンのチター奏者の世界において、正規の音楽教育を受けたアントン・カラスは異色の才能だったとはいえ、いざ映画音楽を作曲するとなると、相当に苦労したという。
単身で生まれ故郷のウイーンを離れ、ロンドンでスタジオ通いをしながら音楽制作を行ったのも、苦労の一端となったらしい。生みの苦しみに応じてというべきか、それを遥かに超えて今に残るメロディとなった。
映画音楽と言えばコレと言われるほどに、その種の選集を組む際には必要とされる曲でもある。
おそらくは後々になって付けられたものと思うけれども、「第三の男」に歌詞付きのヴァージョンがあるなんて。
こんなにヒップなカバーがあるなんて。
ちょっと驚きの発見。(大江田信)
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