Cy Coleman サイ・コールマン / Piano Witchcraft

Hi-Fi-Record2010-02-18

The Cool School 123 クール・スクール・イン・ジャパン その2


記念すべきレコード屋でのアルバイト、
動かない自動ドアを押し開けて中に入り、
先に来ていた先輩たちにあいさつをする。


返事なし。


店長に言われるままに
お店のエプロンを付け
1階の掃除をした。
縦長のビルは4階建てで
この日の勤務では2階のロック・フロアに行くようにとのことだった。


新人はまだレジにはさわらせてもらえない。
今日はとりあえず
フロアの雰囲気を見ておいてとのことだった。


そのとき初めて気がついたのだが、
ぼくと一緒に今日から勤務する男性が
もうひとりいた。


ぼくとは違ってスーツを着ていたそのひとは
社員希望の研修生とのことだった。


開店前に1階で朝礼。
「いらっしゃいませ」に始まる10個ほどのフレーズを
全員で唱和する。


これから本当にこの店で働くのかという気分が
盛り上がってきた。
この唱和、
ハタから見たらまるでロックっぽくない光景だが
ぼくとしては
気分を盛り上げるシュプレヒコール並の興奮があった。


朝礼が終ると
それぞれのフロアーにみんなが散ってゆく。
ぼくも2階に向かった。


店内BGMが流れだした。
いよいよ店がオープンする。
学生街だけあって
開店と同時にお客さんがフロアにぽつぽつと入ってきた。


さて、
フロアの雰囲気を見ておいてと言われても
実際やることはないのだ。


とりあえず商品の配置を覚えるために
端から順にチェックをすることにした。


1988年当時、
まだLPとCDの比率は半々くらいだったが、
新しいメディアであるCDの勢いは日に日に増していた。


CDの「A」から見始めて
ゆっくりと壁伝いに動いているときだった。


「おい」


初めて社員さんに声をかけられた。


「はい」と返事する。


「あのさ、
 今日はここはいいから
 とりあえず階段の拭き掃除してくんない?
 上から下まで」


「はい?」


ぼくの返事は
ちょっとうわずっていた。(この項つづく)


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掃除と言えば
ほうき!


ということで
魔女とほうきのジャケを。


もっとも
あのときぼくが掃除で持たされたのは
雑巾だったけど!(松永良平


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