花柳 幻舟 / 残・曽根崎心中

Hi-Fi-Record2010-03-08

少しばかり私用で実家に帰郷しておりました。
用事も済んだので、散歩がてら地元で一番大きい書店を覗くと、オリジナルのポップと共に恐ろしいまでに徹底されたセレクションが。少しチビリそうになりました。
在野の逸材を発見、というより禍々しい狂気を感じました。ワンピース買いにきた子供がウロウロしたら危険なコーナー!


萌え系漫画、ライトノベル腐女子向け、サブカル全般、そしてなんといっても充実していたのは少女漫画。


漫画家さんのイラスト入りサイン色紙がずらりと並んでいました。少女コミックに疎いので申し訳ございませんが、僕でも知ってるような著名な作家さんばかりでした。宛名は「●●●書店さま」。漫画コーナーの一部が完全に「とらのあな」「アニメイト」と化していて、それらしき店員さんをなんとなく探してしまいました。


実家のすぐ近くにあった小さな書店も健在でした。気のいいおばちゃんが一人で店をきりもりしていたことを思いだして、ちょっとご挨拶にとお店に伺いました。(※高校生の頃、エロ本を買って以来、気まずくて行っておりませんでした)


なんということでしょう!
漫画コーナーの面出し&平置きは、すべて萌え系に!


少年誌で人気の漫画はさりげなく隅の方に。「ワンピース」「バガボンド」「モテキ」、「"この漫画を読め"掲載」みたいなサブカルものはばっちり棚に入ったままで、面出し・平置きは「けいおん」「らきすた」「レールガン」「エヴァ」「ハルヒ」その他放送中の萌アニメの原作の漫画、ライトノベルの単行本です。


店主がおばさんから、その息子さんに代替わりしたせいでしょうか…。やりすぎ注意。いずれ同人誌を扱うようになりそうな予感。
かつて、横山光輝「三国志」全60巻をここで買っただけに、なんというか、"萌え萌えキュン"なセレクションにちょっと目眩がして。もし僕が今小学生だったら、三国志も「一騎当千」(三国志を題材にした学園もの)のほうを集めるのが先だったろうし、純文学なんぞ読まずに西尾維新ライトノベルを読んでいたと思う。そっちのほうが健康的な気もしなくもないけれど。
とにかく「背水の陣」なのは伝わりました。

街の書店の閉店が続く中、生き残りをかけたセレクションと思えば、萌え&ライトノベルの充実は、理にかなっている。ただ"大きなお友達"こと成人男性でない、普通の小学生はどこで漫画を買っているのだろう。子供はもう"漫画"そのものを読まなくなってきている、というニュースも過去にあった。少年ジャンプの購買層だって、もっとも多いのが30代。
「情報の格差なんてない」と頭ではわかってはいたものの、とある田舎の書店で、それを実感できました。あと、音楽誌はというと、ただただ数が減っておりました。


花柳 幻舟 / 残・曽根崎心中


「淋しい鳩」。現首相のことではございません。イントロを聴いて下さい。試聴は一番下のです。全国の"魔法使い"に聴かせたい詩。それにしてもこんなに"萌え"ばかりの中、今の青少年に伊集院光さんのいうところの"DT"(童貞の心を失わない元童貞)力というものが育まれているのか、ちょっと心配だったり。
個人的には試聴中段の「サラバ地球ヨ」が身にしみます。アイタタタタ!


(藤瀬俊)


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