The Seekers ザ・シーカーズ / The Seekers
シーカーズのジュディス・ダーハムの歌声。美しく、可憐だ。
しかし、フォークを揶揄する際に投げかけられることばの多くが、当てはまってしまうかのようでもある。曰く、純朴で健康的に過ぎる、声の甲高さがたまらない、屈折を感じさせないのがかえって不思議、などなど。
どこかしら聞く人をひとつに巻き込もうとするフォークの歌唱に違和感を覚える人もいる。さあ、みんなで、歌いましょう!といった態度の取り方に。
これまたジュディスの歌に当てはまってしまうかもしれない。
それでもジュディス・ダーハムの歌声を嫌いになれない。
つつましく、品が良く、そして純な響きがある。
もう少し声域を低くして、そして初期のシェルビー・フリントやメイヨ・ムーアのような薄いサウンドをバックにして歌った歌唱がないものかと、見知らぬ作品を見かけると必ずや針を落とす。
こうした初期のアルバムも必ずしも試聴の対象から外れる訳ではない。残念ながら、いまだ見果てぬ夢なのだが。(大江田信)