Ohta-San オータ・サン / The Cool Touch Of Ohta-San

Hi-Fi-Record2010-03-12

The Cool School 133 RE:ディスカヴァー・ジャパン その1


今日からしばらく
日本というテーマについて考えてみたい。
アメリカの中古レコード屋で考える日本のことだ。


先日訪れた店では
「こないだこんな日本のレコードを買ったんだ」と
店主からうれしそうに何枚かを見せてもらった。


それは
日本の70年代ハードロックとかGSみたいな
欧米で伝統的にレア盤とされているものではなく、
なんと
童謡や映画音楽をおさめたソノシート・ブックだった。


ソノシートとは
日本の朝日ソノラマ社が作った商標であり、
英語ではない。
英語では“フレキサブル(flexible)ディスク”と言うことが多い。


「日本には昔からこういうの多いらしいな!」


彼は鼻息も荒く言った。
中身は平凡な子どもの歌やありがちな映画音楽だよと言うと
そんなことはわかっているらしく、
メディアとしての存在がエキゾチックだし
ユニークじゃないかと
彼は笑った。


「これが商売になるかはわからんが
 おもしろいじゃないか!」


東海岸の街を車で走っているときに
あるローカルFM局のDJが
「昨日レコードショーで買った日本のシングルだ」としゃべっていて
何をかけるのかと思ったら
思いっきりベタな童謡でびっくりしたこともあった。


こういう体験をすると
いつもぼくは不思議な感慨におそわれる。


彼らが言う日本人の着眼点のユニークさについて
まだまだぼくらは不勉強なのだ。


かつては
良質な他国な音楽の発掘に熱心だと言われた日本。
日本独自のヒット曲や洋楽文化の発達により
世界のマーケットからそれなりに注目されていた日本。


だが外を見ることばかりに熱心で
自分たち自身の放っている、
あるいはかつてぼくたちの先祖世代が持っていた
エキゾチシズムにぼくたちはとても鈍感なのかもしれない。


そんな視点の追求になるかどうかはわからないけれど
アメリカのレコード屋で感じる日本や日本人のことを
今の時代の感覚でもう一度考えてみたい。


すこしつづけて書いてみようと思う。(この項つづく)


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ウクレレの名手オータ・サンの日本メロディ集。


ジャケに映る錦鯉を
思わずのぞきこんだ記憶がある。


個人的には
ハワイで療養していた平岡精二がアレンジで参加した
「クール・ストリングス」も捨て難い。(松永良平


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