Clare Fisher / Great White Hope! (And His Japanese Friend)

Hi-Fi-Record2010-03-14

The Cool School 134 RE:ディスカヴァー・ジャパン その2


「わたしの娘は日本が大好きでね」


とあるレコード屋
奥から出て来たスタッフの女性に話しかけられた。


娘さんはおそらくまだ十代くらいらしく
日本のアニメが大好きで、
「それからそれから、
 あー……あれを着てみたいって言ってるの。
 キモノみたいなんだけどもっとカジュアルなもの。
 何て言ったかしら?」


それは浴衣じゃないかと言ったら
その通りよと彼女はうれしそうにした。


アニメとキモノ、
もちろんそれだけが日本の文化じゃないことは
さすがに21世紀の世界ではわかっているが、
アイコンとしてわかりやすく日本を説明するものであることは
間違いない。


ただ、
そこにもうすこし
日本の普通は入らないのだろうかと
ちょっと切なく思うこともある。


アメリカの中古レコード屋でも
「JAPAN」コーナーを見かけることがときどきあるが、
その多くはアメリカで50〜60年代に発売された
琴や三味線、歌舞伎のレコードだ。


ごくたまに日本人のニューミュージックや歌謡曲のレコードを見かけるが
それは留学生が日本から持ち込んで
帰るころに処分していくという経緯のものが多いらしい。


だからまあ
率直に言うと
アメリカ人からすると
エキゾチックには感じるけれど
音楽的にはおもしろみがないというのが本音だろう。


渋谷系が日本で盛り上がっていたころ
アナログ盤をわざわざ作るアーティストは結構いた(今もいる)。
そういう出来が良くて今日的なレコードが
もうちょっと普通に紛れ込んでいたりしないものか。


1、2枚あるだけでも
アメリカの中古レコード屋での扱いは
かなり違ってくると思う。


あのころ、
日本のアナログを輸出するということを
真剣に考えていたら
何か今とは違った未来があったような思いが
アメリカで「JAPAN」のコーナーを見るたびに
年々強くなっている。(この項つづく)


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クレア・フィッシャーの
かなり変わったキーボード・ソロ・アルバム。


ヤマハの開発したYC-30というコンボ・オルガンを使っている。


日本人と共演しているわけではないのだが
日本絡みということで。(松永良平


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