The Band ザ・バンド / Music From Big Pink

Hi-Fi-Record2010-03-17

 整然としていない、雑然としたコーラスについて、ふとザ・バンドから始まったのかなどと書いてのち、すぐにそれは思い過ごしというか、事実とは違うと思い当たった。


 まず思い出したのは確かタイトルが「4 Giants Of Blues」だったかと思うが、ビッグ・ジョー・ウィリアムスやライトニン・ホプキンスら、4人のブルース・シンガーがセッションしたフォーク・ブルースのアルバムだ。そういえばこれも中村とうようさんが、ライナーを執筆されていたはず。


 サビの部分がくると、それぞれが思い思いにハモっていた。というか、いわば勝手に歌っていた。その様を思い出した。おぼろげな記憶なのだけれども。
 そういえばブルースがハモられて歌われるのは、聴いた事が無いように思う。
 それもそのはずで、ブルースは自身の個人的な事柄を歌うもの。それをハモるのは、似合わないということなのか。
 Folksayなど、そんなブルースのセッション例を思い出した。


 ブルースの因子を持つ音楽にハーモニーが用いられる場合は、整然としたものとはならないのかもしれない。
 整然としたハーモニーを予定している音楽とは、ブルースがどこか違う生まれ方をしているのだろうとも思う。
 レコード屋の店内に流れるザ・バンドを聴きながら、ぼんやりそんなことを考えた。(大江田信)


Hi-Fi Record Store