The Band ザ・バンド / Music From Big Pink
整然としていない、雑然としたコーラスについて、ふとザ・バンドから始まったのかなどと書いてのち、すぐにそれは思い過ごしというか、事実とは違うと思い当たった。
まず思い出したのは確かタイトルが「4 Giants Of Blues」だったかと思うが、ビッグ・ジョー・ウィリアムスやライトニン・ホプキンスら、4人のブルース・シンガーがセッションしたフォーク・ブルースのアルバムだ。そういえばこれも中村とうようさんが、ライナーを執筆されていたはず。
サビの部分がくると、それぞれが思い思いにハモっていた。というか、いわば勝手に歌っていた。その様を思い出した。おぼろげな記憶なのだけれども。
そういえばブルースがハモられて歌われるのは、聴いた事が無いように思う。
それもそのはずで、ブルースは自身の個人的な事柄を歌うもの。それをハモるのは、似合わないということなのか。
Folksayなど、そんなブルースのセッション例を思い出した。
ブルースの因子を持つ音楽にハーモニーが用いられる場合は、整然としたものとはならないのかもしれない。
整然としたハーモニーを予定している音楽とは、ブルースがどこか違う生まれ方をしているのだろうとも思う。
レコード屋の店内に流れるザ・バンドを聴きながら、ぼんやりそんなことを考えた。(大江田信)