Johnny Gregory ジョニー・グレゴリー / Melodies Of Japan

Hi-Fi-Record2010-03-19

The Cool School 136 RE:ディスカヴァー・ジャパン その4


最近、日本人ディーラーを
あまり買付で見かけなくなった。


それはぼくの個人的な印象だけではなく
アメリカのレコード店やディーラーたちにも
同じ印象があるようだ。


「わかるよ、
 お互いエコノミーが良くないもんな」


そんな励ましとも同情とも言える声を
よくかけられる。


だが実際には
経済状況の悪化だけが問題なのではない。


実は日本では
売れるレコードのタイプが限られたものになってきている。
そうした商品を決め打ちで探すうえで
店から店、州から州へと旅をする買付という行為が
割の合わないものになっているということが
結構大きいのだ。


ただ気になるのはむしろ
店が買付をしなくなることよりも、
売れるものが決まってきているという日本の状況の方だ。


特にここ数年で
急速に需要が拡大したのが
ロックを中心とした名盤のオリジナル。


当たり前の話だが
爆発的に売れたアルバムであるほど
新品同様のオリジナル盤は
見かけることが難しい。


何故なら
それはファンの手で開封され
手あかがつくほど愛されるからだ。


自分の愛したものを
最良の状態で手元に置きたいという気持ちは
よくわかる。
ぼくたちだって
そういうものが見つかるとうれしいし
探す努力もする。


だがその一方で
レコードを買うという行為に
冒険という要素を失ってもらいたくないなとも
どこかで割り切れなく思ってしまう。


アメリカのレコード屋にいるときに
すーっと現れて
いくつかの特定の棚だけをチェックして
すぐに立ち去ってゆく日本人ディーラーの姿を見かけることは
決して少なくない。


輸入盤にアメリカの香りを感じたいとか
聴いたことのない音楽をどんどん探したいという
ほのぼのとした憧れが日本で幅を利かせた時代は
もしかして遠くなりつつあるのだろうか。(この項つづく)


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ジョニー・グレゴリーは
確かイギリスのアレンジャー。


全体に漂うやるせさなみたいなものが
ひょっとして英国と日本の化学反応なのかもしれない。(松永良平


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