Johnny Mathis ジョニー・マティス / I’ll Buy You A Star

Hi-Fi-Record2010-04-26

The Cool School 153 ある週末


その日は天気のいい週末で
朝から街は人出が多かった。


ナビの言う通りに行ったつもりなのに
表通りにレコード屋らしき店はなし。


さてはつぶれてしまったかと思い、
別の店で消息を尋ねると
そんなことはない、営業しているよとの返事。


「ただその場所がちょっと変わっているんだ。
 確かに番地は表通りなんだけど
 店は棟続きの建物の裏側になっていて
 表からは入れない。
 入り口は裏の路地の先にあるんだよ」


教えてくれた別の店の店員は
そう言って笑った。


あらためて
言われた通りに路地を進んでみると
あったあったありました。


外装も内装もへったくれもないという感じで
その店はあった。
むきだしの壁に
無造作に什器が設置され
そのすべてがレコードで埋まっていた。


無造作と言っても
ケアがされていないという意味ではない。
ちらっと何枚かめくっただけで
この店の商品のレベルが高いことがわかった。


これはつまり
洒落た雰囲気なんかいらん、
とにかくレコードを買え!ってことだ。


小一時間もしないうちに
抜き出したレコードはかなりの量になった。


店主にディスカウントの交渉をしようとしたら
今ちょっと準備で外にいるのだが
すぐに戻ってくるというので
レコードを引き続き見ながら待っていた。


やがて50代くらいの
赤ら顔をした白人中年が店に入ってきた。
店員の反応を見て
彼が店主だとわかった。


交渉に入った大江田さんと
何やら話し込んでいる。


「なんかさあ、
 彼はこれから外でDJをするらしくて
 だから会計するならちょっと急いでくれないかってさ」


外を見ると
さっきぼくたちが歩いてきた路地はもう封鎖されていて
テーブルの上にターンテーブル2台とミキサーが用意されていた。


彼が準備していると言ったのは
このことだったのか。


駆け足で残りの棚を見終えて
店主に会計をしてもらった。
なかなか気前のいい値段になっていた。


箱に詰めたレコードを運び出すと
すでに観客と思しき連中が集まり始めていた。
若者も黒人もいる。


自分の店の前で野外DJするなんて
いい歳してなかなかやるじゃんか。


彼のDJを聴いてみたい気がしたが、
後ろ髪を引かれつつ
次の店を目指した。(この項おわり)


===================================


来る5月の第一日曜日(5/2)、
ゴールデンウィークど真ん中に
「恵比寿 昼's GARDEN」と題して
お昼3時からやります。


恵比寿 昼's GARDEN@恵比寿tenement
15:00-25:00
charge \1500(オーダー別)


DJ:小西康陽・渡邉誠・平林伸一・常盤響・内田靖人・大江田信・松永良平


昼からおいしいビールやお茶を飲みながら
わいわいがやがやとやりたいと思います。
よろしくお願いいたします。


早めにおいでいただけると
真っ昼間にかけたかった
夕暮れどきに聴きたかった
そんなセレクトが楽しめると思います。


なにとぞよろしくお願い致します。


ジョニー・マティスが歌う
「マジック・ガーデン」、
夢うつつの世界を描いた素敵な曲です。(松永良平


Hi-Fi Record Store