Hugo Winterhalter / The Great Music Themes Of Television

Hi-Fi-Record2010-05-04

The Cool School 157 リフィルに幸あり


かつてアメリカのファストフードに日本人がはじめて行ったときに
一番おどろいたのは
ハンバーガーのサイズがでかいことでも
店員がつっけんどんなことでもなく
ドリンクがおかわり自由だったことではないだろうか。


コーラやスプライトなど
数種類のドリンクを
自分があてがわれた紙コップに
何種類でも
いくらでも注ぎ足してもいい。


そのドリンクマシーンのことを
英語で“ソーダ・ファウンテン”という。
汲めども尽きぬソーダの泉。
うまいこと言うじゃん。


ちなみにその“おかわり自由”は
英語で言うと“リフィル(refill)”。


かつてあるファストフード・チェーンが
東京渋谷のセンター街にある店舗で
試験的にこのシステムを導入してみたそうだが
中高生の回し飲みの
かっこうの餌食となってしまい
早々に中止されたらしい。


日本でも
ファミレスなどで
コーヒーおかわり自由は昔からあったけれど、
このリフィル・システムほどの気軽さがないし、
いわゆる“たむろ”を生みやすい。


腰を落ち着けない場所で
さっと食って
さっとドリンクを注ぎ足して
次の目的地に向う、
欲しいのはそういうリズム感なのだ。


ところで
アメリカのレコード屋にも
“リフィル”は存在する。


ソーダ・ファウンテンがあるわけじゃない。


それは
一度手に取ったレコードや
試聴したレコードを返しておく場所のこと。


あとで店員が
そこからもとの棚へと再補充をする。
注ぎ足されるのを待っているレコードのタンクみたいな場所だと
言っていいだろう。


ちなみに
ぼくは「リフィル」と書かれた棚を見るのが好きだ。
だれかが興味を持ったレコードについているのは
手あかだけじゃなく
そのレコードの良さを考えるヒントのような部分がある。


新入荷コーナーだけじゃわからない
思わぬ発見を
さっとさらえるリズム感。


レコード屋のリフィルにも
ファストフードのリフィルにも負けず
ちょっとした幸はある。(この項おわり)


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ソーダ・ファウンテンの最大手
コカ・コーラ社が1950年代に提供した番組
ザ・コカ・コーラ・カンパニー」のテーマ曲を収録したアルバム。
今日はこれにしておきます。(松永良平


試聴はこちらから。