Cathie Taylor / Sings Of The Land And The People
ポピュラー・シンガーが歌うフォークのアルバムに強く興味を持つようになった。
一昔前の自分だったら、そうした興味の持ち方を否定していたに違いない。
伝承歌曲を伝承の精神や方法のままに歌い継ぐことをもって、最良と思っていたからだ。
ただしそうしたマナーで歌われる音楽には、守り抜かれているものが歌われるものの、フォークから新たに発見された「何か」が映り込むことはない。
フォークとは発見されるための音楽なのだと気づいてからは、自分の中で何かが変わり始めた。
そうするうちに、ポピュラー・シンガーが歌うフォーク・アルバムに面白さを見いだすようになったのだ。
フォーク・シンガーと思われている人が、実はポピュラー・シンガーの資質を強く持っていた、そいういう場合もある。
フォークは60年代初頭の新進のトレンドだったので、その潮流に乗じるケースがあってもおかしくないし、それはそれで野心の表現だと思うようになった。
そんなことを考えながら聞き返しているうちに、今一度、楽しみを感じるようになったアルバムがこれ。
ハイファイのサイトに書かれたコメントを読みながら、改めてその通りかもしれないと感じ入った。(大江田信)
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