George Benson / The Other Side Of Abbey Road

Hi-Fi-Record2010-05-11

The Cool School 160 奥にどうぞ


アナログはお店の奥にある。


このご時世
そんな作りのお店はすくなくない。


店のフロントはCDがメイン。
あるいは
古本屋の奥のスペースが中古レコード。
そんな話は前にも書いたか。


そういうパターンで言うと
今まで断トツに驚いたのは
アメリカの北の端の州でのこと。


どうも釣果のあがらない一日で
モーテルまでの帰り時間を気にしながら
思い切って北のはずれまでやってきた。


わずかに住所だけがわかっているその店を目指して
どうやらそのあたりまで来てみたのだが
あたりにレコード屋らしき店はない。


同じ番地にあるのは
よその街でも見かけるチェーンのカー用品店。
ひょっとして店がつぶれて
そのあとがこれになってしまったのかもしれない。


せっかく来たんだから
手がかりだけでもつかもうと
お店に入った。


店員がこちらを見て言った。
「レコードを買いに来たのか?」


よほどぼくたちの雰囲気が
車とは縁がなさそうに見えたのだろうか。
先手を制するような物言いだった。


わるいね、つぶれたよ……と声が続く、
かと思いきや、
彼は無言で店の奥を指差したのだ。


小さな入り口の向こうに
テーブルと段ボールが見えた。
その段ボールの中に無造作に放り込まれているのが……、


あ、レコードだ!


その店で買ったレコードは
数も多くはなかったし
珍しいものもなかったけれど、
体験としてはおそろしき衝撃的だった。


しかしまたなんでこんなところにわざわざ!
平然と奥の間に存在している
レコード屋さんという存在そのものが不思議だった。


もう一度行ってみたいなと思うけれど
もうチャンスはないんだろうなあ。
たぶん
もう一度行っても
もう一度同じようにびっくり出来ると思う。(この項おわり)


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車の写っているジャケットを。
ビーチ・ボーイズの「カール&ザ・パッションズ」は前に使ったので
今日はこれ。


一句
ギター弾き 大手を振って 車止め。(松永良平


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