O.S.T. Henry Mancini / Breakfast At Tiffany’s

Hi-Fi-Record2010-05-20

The Cool School 165 買付秘密兵器 その5


パソコンと携帯が
21世紀の買付には登場したという話で
前回は携帯のことを書いた。


今回はパソコンのこと。


昔は分厚いイエローページをめくって
ここだあそこだと
いろんな情報を調べていたのも遠い昔。


箱を売ってるU-Haulも
ポストオフィスも
近所にあるおいしそうなレストランも
そして何より
知らずにいたナイスなレコード・ショップも
モーテルにいながらワンクリックで知ることが可能になった。


ノートPC自体は
すでに2000年代の初めにはあった。
しかし、
まだ通信のインフラが未発達で
とくに海外での使用については面倒が多かった。


2001年の秋に
弟と一緒にアメリカに出向いたときに
やつはPCを持参していたが
やれNTTとの海外利用契約が必要だとか、
無事つながっても回線使用料が高いとか、
そしてとにかく
通信速度が泣けるほど遅かった。


いくら何でも
これじゃ非現実的だということで
その後しばらく買付へのPC持ち込みが議論されることはなかった。


それが一変したのは
2005年の夏。


ライターとしての取材で渡米したときに
面倒くさいのを覚悟でノートPCを持ち込んだ。
弟(このときも何故か同行していた)と一緒に
NTTに国際回線の申し込みをして
いろいろとレクチャーを受けて
何とかなるさと行ってみたのだ。


モーテルに着いて
弟がまず結線。


ふと見ると
弟の挙動がおかしい。


「あにき!
 これはもう勝手につながっとりますぞ!
 しかも無料で!」


そうなのだ。
ぼくらが知らないうちに
アメリカのビジネス事情は劇的にネット化をとげ、
ビジネス客が多く泊まるモーテルは
ネットが使えないと人気がないという時代になっていたのだ。


モーテルの予約票を確かめてみると
そこには高らかに
「ハイスピード・インターネット完備」と銘打たれていた。
そうだったのか!


そのとき以降、
ハイファイの買付に
ノートPCは必需品となった。


何を隠そう、
このブログを始めるきっかけも
アメリカからアクセス可能なら
毎日更新が出来るとわかったからだ。


レコードを毎日新入荷で出しているんだから
ブログも毎日更新。
まあ最初は、それぐらいの軽い気持ちだったんだけど。


ちなみに買付中だからと言って
その日の買付のエピソードを書いたりしない。
実はそれが
ぼくと大江田さんの間に設けたルール。


それでも
毎日見てる"通”のひとには
買付中だということが何となくわかるらしい。
いやはや、ありがたいことですね。(この項ひとまずおわり)


===================================


昨日、大江田さんが紹介していた本での
「音がどれくらい長さの時間の中で、
 どのようなまとまり方をしたら
 人は音楽と感じるのか」
というテーマ設定。


それには興味がある。


こないだお店で
お客さんの携帯が鳴ったのだが
それはピアノの単音の短いサステイン。


しかし
それは見事なまでに音楽だった。


電話に出るなり忙しそうに
お客さんは退店してしまったので
その音の正体は訊けずに終ったが
たぶんこれだと思っている。


ヘンリー・マンシーニティファニーで朝食を」のテーマ曲。
冒頭のピアノ。
最近ぼくが知った
世界で一番短い音楽のひとつ。(松永良平


Hi-Fi Record Store