SAKEROCK/ホニャララ (LP)
家を出て最寄りの駅に向かう途中の道すがら、竿竹やの車に追いかけられることになってしまった。竿竹は、いまでは車で移動して売られる。ぼくはリヤカーを引きながら売られた昔を知っている。
4mの竿竹が2本で1000円だと、スピーカーの女の子が言う。20年前の価格なのだそうだ。アルミ製の竿竹もあります。こちらもお買い得ですと続く。
すると、件の「たけやぁ、さおだけ〜」を歌い始めた。別段うまくもないのだが、妙に彼女のナレーションのキャラになじんでいて、ふと腑に落ちる歌声だった。
これを駅までの10分余の道すがら、くりかえし聞くはめになった。
トラックはゆっくりと走っている。ぼくを抜き去りはりない。等間隔を保ちながら、駅まで一直線の道を進む。
「たけやぁ、さおだけ〜」は、音程で言えばミソソ、ミソララだな、ラドド、ラドドレでもいい。終わりは必ずラだな。おもしろいことにミソソ、ミソソソと歌ったのだと終わった感じがしないな。それに気持ちが悪いな、などとあれこれ考えた。
つらつら考えいていて、そのせいでいつもよりもゆったりとしたリズムになってしまったのかもしれない、目的の電車がホームに滑り込んで走り去っていくのを、見送るはめになってしまった。
竿竹やさんの彼女の声に続けてDJするなら、なんだろう。ハイファイにたどり着いて、これかなとSAKEROCKのホニャララに収録の「千のナイフと妖怪道中記」の試聴ボタンをクリックしてみたら、うまく二つがつながった気がして、思わずにんまりした。(大江田 信)
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