The Four Seasons / Dawn (Go Away) And 11 Other Great Songs

Hi-Fi-Record2010-05-28

 ラジオから流れる「ユー・センド・ミー」を聞きながら、ちょっとほろっときた。歌っているのは、ロッド・スチュワートチャカ・カーンとデュエットしている。大成功した一連の「ザ・グレイト・アメリカン・ソングブック」シリーズのNo.4に収録のヴァージョンだ。


 ほろっときた理由は、泣かせるハチロクのリズムに乗って、しゃがれ声のロッドの素晴らしいヴォーカルが響くからに他ならないのだが、そういえば確か過去に一度歌っていたなあと、思い出したからでもある。
 無骨さを丸出しのヴォーカルで聞いたあの曲が、いまこうしてとてもスムースな仕上がりになっている。昔の方がよかったとつい言いがちなものだが、いや、熟した男の無邪気が伝わってくるようで、この60歳のヴォーカルもいいもんだなあと思ったら、ちょっとグスっときた。
 音域の全く違うこのふたりを一つの曲にまとめるための、力ずくの転調が面白い効果を生んでいる。


 ハイファイに誰かのカバー・ヴァージョンがあるかなと探してみたら、フォー・シーズンズのものがあった。
 サム・クックのオリジナルがヒットしたのが、1957年。こちらのフォー・シーズンズのヴァージョンは1964年。
 イントロを聴いているだけでは、まさかあのメロディが始まるとは、ちょっと想像がつかない。リズムのパターンもいささか違う。ソフトロッキンな「ユー・センド・ミー」。これはこれで、とてもいい。


 なるほど、1964年ともなれば、「ユー・センド・ミー」はもう充分にスタンダードの一曲だったのかもしれない。存分に料理してもいいだけの状況がそこにあったのだ。
 さらっとしてソウル色の少ないフォー・シーズンズ版の仕上がりに、オリジナルのサム・クック版の確固たる存在を見たように思った。(大江田信)


Hi-Fi Record Store