Bert Kaempfert And His Orchestra / That Latin Feeling
6月25日発売の「ウェルナー・ミューラーの素晴らしき世界」(WQCP-861)の監修・選曲・解説の仕事をしているあいだ、ずっとウェルナー・ミューラー漬けだった。
様々な曲を聴いて、いろいろ調べているうちにいくつもの発見があって、ひとりPCの前で興奮していた。
忘れないうちに、メモを残しておきたい。
「ブルー・レディに赤いバラ」の演奏ものの定番といえば、ひとまずベルト・ケンプフェルトのオーケストラということになっている。
同曲のオリジナルをたどってみると、1948年にガイ・ロンバードのオーケストラ演奏によって初演されてヒットしている。ガイ・ロンバードと言えば、スイング期を代表する人気ダンスバンドの一つ。長寿バンドでもあった。
そしてヴォーン・モンローのヴォーカル版がヒットしたのは、1949年。
ベルト・ケンプフェルトのカバー・ヴァージョンがヒットしたのは、1965年。全米チャートの11位まで上昇した。
この間に16年の時間が流れている。
なにがヒットの鍵になったのだろうと、ベルケンのレコードを聴いても、よくわかない。
しかも続いてヴィック・ダナ、ウェイン・ニュートンのカバー・ヴァージョンもトップ40にチャート・インしている。
不思議だ。
不思議ついでに言うと、ベルケンが演奏したヒット曲がカバーされるときには、なぜかベルケンのサウンドのままになる。ウェルナー・ミューラーがカバーした場合も、カラベリのカバーもそう。それは恐らく敬意の表明なのだろう。
アニタ・カーは、ベルケンの曲で構成したアルバムを作って、そこにベルケンに捧げる曲を収録している。
どうしてこんなにベルケンが音楽家たちから、尊敬を持って受け取られるのか。
ベースの音色に特徴を持つベルケンの典型的なサウンドをひとつ。(大江田信)
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