The Ventures ヴェンチャーズ / Lolita Ya-Ya
ラテン音楽と言うと、どうしても年配の方の趣味と思ってしまうのは、かつて子供の頃に見知ったものが体のどこかに残っているからかもしれない。
ふとテレビで見た有馬徹とノーチェ・クバーナや東京キューバン・ボーイズの演奏に、勝手に年寄り臭いイメージを持っていた。
それが少しづつ変わりだしたのは、ベンチャーズが「パーフィディア」を取りあげていることを知ってからだ。
1960年10月に初チャートインしてのち、全米15位まで上昇、ヒットとなったシングルだ。
当時のベンチャーズは、それまでボール・ルームなどで演奏してきたメロディを、スタジオで数テイクで録音していた。ということは、この曲は録音までにくり返し演奏されてきたはず。それも若い男女が踊るためのダンス・ミュージックとして、プレイされてきたはずだ。
パーフィディアは、メキシコのアルベルト・ドミンゲスが1939年に発表したもので、40年代初頭のアメリカでザビア・クガート、グレン・ミラー、ベニー・グッドマン、ジミー・ドーシーなどが取りあげヒットさせたもの。1960年の時点では、充分にスタンダードだったのだろう。ベンチャーズのメンバー、ボブ・ボーグルがずっと好きだった曲と語っている。
60年代から当初からベンチャーズのアルバムを買っていた訳ではないし、これに気づいたのは、ここ20年余のこと。
ラテンって、面白いぞと遅ればせながら、思い始めることにつながった。
同時に、これまた遅ればせながらヴェンチャーズの楽しさにも、改めて気づくことになった。ベンチャーズの音楽の楽しさの一つは、選曲だ。
「Lolita Ya-Ya」は、1962年の映画「ロリータ」の主題歌のカバー。
アレンジの妙味が訴えたのか、全米61位まで上昇するヒットになっている。
ラテンも映画音楽も一緒にオーケー。これはインストルメンタル・バンドだからこそあり得る楽しみなのだ、と思う。(大江田信)