Denis Forcier デニス・フォルシエ / Denis Forcier

Hi-Fi-Record2010-06-21

The Cool School 176 もうひとつの国境の南


「サウス・オブ・ザ・ボーダー」、
あるいは
「国境の南」というタイトルでも知られるスタンダードは
アメリカ南部のメキシコ国境を越えた先にある
街の旅情を歌った曲だ。


ところが
アメリカには
もうひとつの「国境の南」が存在する。


それはずっと北上した先、
すなわちカナダとの国境を意味する。


国境の街には
カナダの匂いがする。


モーテルに泊まると
テレビではカナダのチャンネルを見ることが出来る。


カナダのチャンネルというのが結構おもしろくて
めずらしいものをこれまでも見て来た。


ボーリングに似ているんだけど
なにかが確実に違う奇妙なボーリングもどきの中継とか
アート・ガーファンクルがカナダのミュージシャンたちと
スタジオで車座になって歌う番組を見たのも
カナダのチャンネルだった。


レコードも
なんとなくカナダのものを見つける機会が多くなる。


そう言えば
カナダでは
カナダ人のシンガー・ソングライターのレコードは
実はぼくらが考えるほどには
あまり大事にされないという話を聞いたことがある。


だから
国境を越えて
アメリカに売りに来たりしていたのかもしれない。


ドルもアメリカの方が強いしね。


カナダに入ってしまうよりも
国境の南の街でカナダ盤を探す方が
なんとなくおもしろいレコードを見つける確率が高い気もしている。


うまく言えないのだけれど
カナダ盤だらけのシチュエーションよりも
アメリカ盤の中にカナダ盤がすこし混じるくらいの方が
レコードも魅力的に光って見えるのだ。


もうひとつの
国境の南の街で起こる
ささやかなマジックだと
個人的には思っている。(この項おわり)


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これもカナダのアーティスト。
国境の南で見つけた。


フランス語のシンガー・ソングライターには
日本人は点が辛いと
お客さんに言われたことがある。


でも
この人を
素通りするのはもったいないと思うんだけどなあ。(松永良平


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