Debbie Reynolds デビー・レイノルズ / And Then I Sang
「タミー」と言えば、洋楽ポピュラーのクラシックとして、今でもベスト盤などに必ずと言っていいほどに収録される曲。もとをたどると1957年のアメリカ映画「タミーと独身者」(原題:Tammy and the Bachelor) )の主題歌としてデビー・レイノルズが歌い、5週間にわたって全米1位となった。
こちら日本でも相当のヒットをしていて、シングルが1957年9月から翌2月にかけて半年近くも当時のラジオ洋楽ベスト10番組にチャート・インしている。
ミシシッピーの河船にひとりで暮らす少女、タミーの青春を描いたとされるこの映画「タミーと独身者」の方はというと、実は日本では公開されていない。
にもかかわらずこれほどの期間、チャートに在位したというのは、いくら日本で発売される洋楽シングルの数が少なかった時代とはいえ、ちょっと想像を絶する長さだ。よほど日本人の琴線に触れる音楽だったのだろう。
彼女は、基本は役者のはずだが、複数の音楽アルバムもある。なかでもDOTからリリースされたふっくらとしたヴォーカルをフィーチャーしたアルバムに楽しみがあるのだが、こんなアルバムもリリースしていた。これは、70年代に持ち歌を再録音したレコードだ。
もちろん「Tammy」も収録されている。かつて25歳で「Tammy」を歌った彼女が、45歳を迎えて今一度、歌う。
年を隔ててデビュー当時のヒットを今一度うたうという企画アルバムには、実は興味がある。
後年の彼女が、かつての自分とどのように向かい合っているのか、それが自ずと歌い込まれているからだ。
デビー・レイノルズのこの場合、あふれんばかりのキュートさを振りまいたオリジナルと比べて、少しばかり不幸の味が香る気がする。(大江田信)