Carole King キャロル・キング / Music

Hi-Fi-Record2010-08-04

 キャロル・キングジェームス・テイラーのトルバドール・リユニオンのステージで、客席から「プレザント・ヴァリー・サンデー」のリクエストがあった時に、二人が示した反応が面白かった。
 キャロルは、サービス精神豊かにサビの部分を少し歌った。そして、「この先は忘れてしまったわ」と言う。ジェームスがまた少し歌い継ぎながら、「これも、君が作った歌なの?」と聞く。キャロルは、「そうよ」と答える。


 二人の仲の良さを感じさせるのはもちろんなのだが、モンキーズで聴くといかにもオールディーズ風の匂いの残った60年代的なヒット曲が、こうして二人が歌うと、違った表情を見せることに驚きを感じた。


 もっとも違って聴こえたのが「Will You Love Me Tomorrow」だった。アルバム「つづれ織り」に収録されたキャロルとジェームスが歌う同曲を聴いて後に、シュレルズが始唱したものと知って彼女たちの歌唱を聴いた時からずっと感じていた、これら二つのヴァージョンの違いについて、改めて強く思うところがあった。


 キャロルとジェームスとが歌うと、「明日もまた愛してくれる?」と問いかける言葉が、意味深い言葉として耳に残る。ガールポップのヒット・ソングのキュートな他愛も無いリフレインのコピー・フレーズだったはずの歌詞が、大人の表情を見せ、そしてとても詩的に聞こえるのだ。


 自分が書いた歌を、また違う風景を盛り込んで、時代を経て歌う。
 歌われた歌が、とても幸せに思えるひとときだ。


 ハイファイには、いま「つづれおり」は在庫していなかったので、「つづれおり」よりも今の時代には好まれているかもとコメントして推している「Music」を挙げておきます。(大江田信)


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