Eydie Gorme イーディ・ゴーメ / Everybody Go Home

Hi-Fi-Record2010-08-24

「60年代のColumbiaのシングル盤って
 プロモ盤とレギュラー盤では材質が違うことがあるんだよ」


アメリカ人のディーラーから
それを教えられたとき
ハッとした。


その違いに
思いあたるフシがあったからだ。


「プロモ盤には塩化ビニールを使って
 レギュラー盤には安価で劣る素材を使っているものが多い。
 エボナイトとかね。
 そのせいで
 Columbiaのシングルのレギュラー盤は
 見た目全然キズがなくても
 かけてみたらシャリシャリとノイズがすることが結構ある」


そうなのだ。
ぼくも買付のときにピカピカのシングルを見つけたはずなのに
聴いてみたら音がシャリシャリで残念な思いをしたことが
すくなくない。


そしてその体験は
Columbiaのシングル盤でよく起こる。


「当時はシングル盤は
 お店で売れることよりも
 ラジオで流れることの方が重視されていたからね。
 プロモ盤は何回かけても大丈夫なように
 品質のいい塩化ビニールを使っていた。
 逆にレギュラー盤の方が
 すり減りやすい素材でもいいとされていたんだな」


本当かよとも思うが
現実にそういうケースを体験しているから信憑性はある。


そして
その材質の違いは
50〜60年代のアメリカにおけるシングル盤とは
お店に並ぶ以前に
ラジオで流れることを前提とした
プロモーション・メディアであったことを
裏付けするひとつの重要な事実でもあるのだ。


「もっともそれは
 Columbiaが
 ヒットするかどうかよりも
 ラジオでどういう反応が得られるかを前提に
 実験的とも言えるシングルを
 プロモ盤でたくさん作っていたことの証明でもある。
 つまり
 ラジオでかかんなかったら
 レギュラー盤なんかプレスすらしないってわけ」


このつづきは
また次回。


4,5回まわってニャンと鳴く 2 松永良平