Chris Montes クリス・モンテス / Go Head On(B面)
シングル盤のB面は
制作サイドやレコード会社のさまざまな思惑が入り乱れている。
そんな話の続き。
先週の土曜日、
恵比寿tenementのDJパーティーで
ゲストをお願いした水上徹さんと
どういう流れだったか
シングル盤のB面って政治だよね的な話になった。
その意見には
水上さんも同意してくれたのだが、
ひときわ大きな声で
「そうだよね!
クリス・モンテスのA&Mのシングルなんて
B面がだいたい彼の書いたオリジナルじゃん」
と言ったのだ。
確かにその通りで
クリス・モンテスのA&MでのシングルのB面は
ほとんどの場合、アルバム未収録のオリジナル曲なのだ。
水上さんは続けてこう言った。
「たいていあんまりいい曲じゃないんだけど、
A面がカヴァーだからね、
たぶんB面にはおまえの曲入れとくからさ、
なんて言われてたんじゃないかな」
ご存じのかたもいらっしゃるだろうが、
クリス・モンテスはA&M入社以前に「レッツ・ダンス」という
いかれたロックンロールのヒット曲があり、
若いチカーノとしての魂を感じさせる作品を残している。
A&Mでの作品は
それ以前からすると大胆すぎるイメチェンなのだ。
ひょっとしてそれは
彼自身の本意とは言えなかったのかもしれない。
その変身を飲み込ませる条件として
A&Mのヘッドだったハーブ・アルパートが
シングルのB面を用意したんじゃないか。
そう考えると
やっぱりB面はなかなかの政治の道具だなという思いが
また一段と深まっていく。
4、5回まわってニャンと鳴く その8 松永良平