Chris Montes クリス・モンテス / Go Head On(B面)

Hi-Fi-Record2010-09-10

シングル盤のB面は
制作サイドやレコード会社のさまざまな思惑が入り乱れている。


そんな話の続き。


先週の土曜日、
恵比寿tenementのDJパーティー
ゲストをお願いした水上徹さんと
どういう流れだったか
シングル盤のB面って政治だよね的な話になった。


その意見には
水上さんも同意してくれたのだが、
ひときわ大きな声で
「そうだよね!
 クリス・モンテスのA&Mのシングルなんて
 B面がだいたい彼の書いたオリジナルじゃん」
と言ったのだ。


確かにその通りで
クリス・モンテスのA&MでのシングルのB面は
ほとんどの場合、アルバム未収録のオリジナル曲なのだ。


水上さんは続けてこう言った。
「たいていあんまりいい曲じゃないんだけど、
 A面がカヴァーだからね、
 たぶんB面にはおまえの曲入れとくからさ、
 なんて言われてたんじゃないかな」


ご存じのかたもいらっしゃるだろうが、
クリス・モンテスはA&M入社以前に「レッツ・ダンス」という
いかれたロックンロールのヒット曲があり、
若いチカーノとしての魂を感じさせる作品を残している。


A&Mでの作品は
それ以前からすると大胆すぎるイメチェンなのだ。
ひょっとしてそれは
彼自身の本意とは言えなかったのかもしれない。


その変身を飲み込ませる条件として
A&Mのヘッドだったハーブ・アルパート
シングルのB面を用意したんじゃないか。


そう考えると
やっぱりB面はなかなかの政治の道具だなという思いが
また一段と深まっていく。


4、5回まわってニャンと鳴く その8 松永良平