Bert Kaempfert And His Orchestra / Moon Over Miam
おとといの続き。
しばらく前のこと、ベルト・ケンプフェルトのアルバム収録曲「Moon Over Napoli」(邦題は「ナポリの月」)を聞いていて、メロディが「スパニッシュ・アイズ」と全く同じであることに気づいたことがある。どうしてなのだろうと思ったが、その時は時間がなくてそのまま放っておいた。
以来ずっと気になっていたのだが、先日、調べてみて疑問が氷解した。
「Moon Over Napoli」は、シングル・カットされて1965年に全米チャート59位にランクインしてぃる。ベルト・ケンプフェルトのオーケストラによる演奏だ。
これに目をつけたスタッフが英語の歌詞を用意して、アル・マルティーノが歌ったところ、こんどは全米15位のヒットとなった。1966年のこと。
タイトルは「スパニッシュ・アイズ」となった。これがことの顛末。
様々なシンガーがカバーしているが、日本で最もよく知られているのは、フリオ・イグレシアスのヴァージョンかもしれない。
とこうなると、話は「夜のストレンジャー」の場合と似てくる。
諸外国の作品をアメリカに持ち込み、英語歌詞を付けてリリースする、という方法。考えてみればこうした方法のヒット曲は、なにもベルト・ケンプフェルトの場合だけではないのかもしれない。シナトラの「マイ・ウエイ」も「愛をもう一度」も同様のパターンだ。
日本で言えばモーリス・アルバートの「愛のフィーリング」がハイファイ・セットの「フィーリング」になり、ミシェル・フュガンの「愛の歴史」がサーカスの「ミスター・サマータイム」となったようなものかもしれない。
こちらのアルバムのタイトルは、「Moon Over Miami」。かつてのヒット曲、「Moon Over Napoli」の続編ということなのだろう。さしずめ邦題を付けるならば「マイアミの月」。(大江田信)
試聴はこちらから。
PS
大江田が参加するフォーク・デュオ、林亭がライヴを行います。
ご興味のあるかたはこちらをご覧ください。