Spiral Starecase スパイラル・ステアケース / I’ll Run

Hi-Fi-Record2010-09-13

スパイラル・ステアケースの
「モア・トゥデイ・ザン・イエスタデイ」が
アメリカでは今でも親しまれているヒット曲なのだと知ったのは
数年前に見たドラマ「アリーmyラブ」がきっかけ。


クリスマス・パーティーの席上で
この曲を歌いながら求愛するという
ファンには有名なシーンがあるのだ。


スパイラル・ステアケースは
いわゆる一発屋に数えられる類のグループだが
ポップス史から捨て去られるには惜しい可能性を持った連中だった。


そのことを
このシングル「アイル・ラン」を聴いてなおさら痛感する。


実はこのシングルは
「モア・トゥデイ・ザン・イエスタデイ」の直前のシングル。
なんとあの曲は
彼らのデビュー・シングルではなかったわけだ(三枚目)。


彼らが長続きしなかった原因は
怠慢なマネジメントのせいだという説もあるけれど、
事前にある程度揃っていたはずのデモテープを聴いて
「モア・トゥデイ・ザン・イエスタデイ」を
このニュー・カマーの
劇的なデビュー・シングルに
選べなかったレコード会社の責任もあるかもしれない。


つまり
この「アイル・ラン」だって
「モア・トゥデイ」のあとに出ていたら
十分にスマッシュヒットの可能性があったと思うのだ。
そしたら彼らは一発屋ではなく
二発屋というか
もうすこし長く業界にとどまっていられたはず。


結果的に「モア・トゥデイ」は大ヒットしたとは言え、
シングルの順番という
ちょっとした選択で
運命が変わることもある。


そんなことを思った。
それくらいのいい曲。


4、5回まわってニャンと鳴く その10 松永良平