Burt Bacharach / Raindrops Keep Fallin’ On My Head
「雨に濡れても」は
映画「明日に向かって撃て」の主題歌で
B・J・トーマスの歌で大ヒットした。
サウンドトラック盤の方も大ヒットし、
それまでコミカルな映画や
なんとなくB級な映画のサントラ仕事が多かった
バカラックとハル・デヴィッドにとって
長く残る勲章になった。
このシングルは
そのアルバムからのシングル・カットだ。
あれ?
でもちょっと待って。
1970年最初の全米ナンバー・ワン・ヒットになり
アカデミー賞も獲得したのは
B・J・トーマスのシングルの方で
あれってA&Mじゃなくて
彼が所属していたセプターから出てたよね。
サントラLPもA&Mから出ていたわけだから
B・Jのシングルも当然A&Mから出ているべきなんだけど、
そうはならなかった。
だからだろう、
A&Mからはバカラックが指揮したインスト・ヴァージョンが
シングルカットされたのだ。
日本盤のシングルは
当時どっちが出たのかしら。
バカラックは
ディオンヌ・ワーウィックとの仕事で
セプターとの縁も深かったし、
印税や著作権収入という意味では
どちらでもよかったのかもしれないけれど、
ハーブ・アルパートとジェリー・モスは
ちょっと殺生だなあ、なんて思ったりしたかも。
それとも
B・J・トーマスにどうしても歌ってもらいたくて
アルバムはA&Mだけど
シングルはセプターという取引をして
サントラに参加してもらったというケースだったとか?
もっとも
映画の主題歌の権利は複雑なようで
現にこの曲についても
映画を制作した20世紀フォックスをはじめ
3つの音楽出版社の共同になっていることが
このシングル盤のラベルからはわかる。
セプターからしてみたら
B・J・トーマスは歌ってるだけだし、
丸儲けと言えるほどの話でもなかったわけか。
ちなみにもうひとこと言えば
このバカラック版のシングルは
何となくあんまり見かけない気がする。
4、5回まわってニャンと鳴く その13 松永良平