The Amigos アミーゴス / Goes Latin
午前中、NHK BSでニューヨーク・ヤンキースVSテキサス・レンジャースの試合を、ぼんやりと眺めていた。リーグ優勝に向けて、レンジャースの方がどうも優勢らしいが、メジャーリーグの試合を見る時の関心事となると、いつもながら客席の人たちの服装に向いてしまう。
画面を見る限りではTシャツ姿の人はいない。このところのニューヨークはそれほど寒くは無いようだけれども、夜になって、しかもじっと座っているとなると、やはり肌寒いのだろう。
球場に出向いてのメジャーリーグ観戦の楽しみは、試合運びはもちろんのこと、各回のあいだに球場が設けるエンターテイメントにある。ダンスミュージックを大音量で流し、スクリーンには楽しく踊っている観衆を映し出し、その一人を本日のナンバー・ワン・ダンサーと誉め讃えて、商品をプレゼントしたり。とても工夫されているし、趣向がこらされている。音楽をうまく使っている、という印象だった。
コロラド・ロッキーズとシアトル・マリナーズの試合を、ロッキーズの本拠地、デンバーのクワーズ・フィールドで見た時のこと。
塁上にロッキーズの選手が出た。7回の裏だったか、8回の裏だったか。ロッキーズのチャンス。マリナーズはピンチだ。
救援投手が3塁側からマウンドに上がってくる。すると球場にはフランク・シナトラが歌う「夜のストレンジャー」が大音量で流れた。丁度歌い出しの歌詞のところ、「夜、知らない者同士が視線を交える」あたりで球場は、笑いで一杯になった。
なにしろ球場はロッキーズの本拠地。マリナーズにとっては、アウェー戦。その救援投手は、確か佐々木だったと思う。彼は既にリリーフ投手としてアメリカでも名前が知られていたのだから、これはロッキーズ側のちょっとしたからかいというか、軽いいやがらせ。シナトラの歌を笑いながら聴いている観衆のなか、佐々木はマウンドに登った。
おやおや、こんなことしちゃっていいの?というのが率直な僕の感想だった。シナトラの関係者とか、怒んないの?とも思ったのだが、実際にこうして行われてるのだから、許されているんだなと思うしか無い。
それにしてもマウンドに向かう佐々木は、かわいそうにとも思った。"見知らぬもの"扱いなのだから。
その後を聴いて行くと、見知らぬ者どうしとして出会った二人は、恋に落ちて行くというハッピー・エンドの歌だ。
フランク・シナトラ、1966年の全米ナンバー・ワン・ヒット。シナトラに11年ぶりに全米1位の栄誉を授けてくれた。
アミーゴスのラテン風味満載の素晴らしいコーラスでどうぞ。(大江田信)
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