Boots Randolph ブーツ・ランドルフ / Yakety Sax
ヤケティ・サックスをヒット・ポップスとして聴いていて、どうしてこういう曲が出来上がったのかに付いて、思いが至らなかった。ノベルティ・タイプの一曲なのかな、くらいの気持ちで聴いていた。
それが、ハイファイのサイトの紹介文を読んでいたら、「ナッシュヴィル産のジャイヴ・サックス・チューン」と描かれていて、ああそうだったのかと腑に落ちた気持ちになった。
あのリズム、あのサックスのブロウ、全体の曲調のキーワードは、そうか【ジャイヴ】だったのか。ロックンロールの隆盛を横目で見ながら、ナッシュヴィルの白人ミュージシャンたちが、いっちょやったるかと腕まくりをして演奏したのかもしれない、もしかすると。
それにしてもこのアルバムに込められているエネルギーは、すごいの一言だ。
さきほど「ヒット・ポップスとして聴いていて、どうしてこういう曲が出来上がったのかに付いて、思いが至らない」と書いた。
書きながら変だなとは、思った。ヒット・ポップスだと、どうして音楽の出自に興味が向かないのか、理屈としてはおかしい。でも現実には、そういう経験をずいぶんとした。
もう何十年も前のこと、ヤケティ・サックスという曲があって、これはヒットした曲で云々とAMラジオで湯川れいこさんが話しているのを聴いて、ふーん、そうなのか位に思っているうちに、考えることがストップした。
そのくせ耳に馴染んだヤケティ・サックスと、少し違うぞと気づく。
ブーツ・ランドルフのヤケティ・サックス、ヒットしたのは本アルバム発表後にモニュメントに移籍してからのヴァージョン。サックスのフレージングの細部が違う。生々しくてエネルギッシュな演奏という点では、こちらRCA版の方がグンと上かもしれない。(大江田 信)
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