Billy Meshel / A Love Song Of A. Wilbur Meshel
なんともイカさないジャケットだ。始めて見た時に、そう思った。
それからもう何年も経っているし、それほどに簡単に右から左に見つかるレコードでもないのだけれども、手にする度にイカさないジャケだと思う。
制作スタッフにどういう意図があったのか、読み取ることが出来ない。
つい、主人公ビリーの奥に座る女性のすっきりと伸びる見事な足に、視線が向かってしまう。彼らはカップル、ビリーは独り。
ジャケのイメージのママの音が出て来たぞというジャケ買いの妙味は全くない。音楽が置かれるべきステージを、ジャケが演出している風でもない。
随分と悪口を言って来たけれども、それというのも中身が最高だからだ。
跳ねている感じの闊達な響きが聞こえて来て、そのうちにハイファイのコメントにもあるように、優しい気持ちにしてくれる。ソングライターのアルバムの多くがそうであるように、パフォーマーを目指しているシンガーが晴れやかなヴォーカルを聴かせるとしたら、いかにもポツン、ポツンとつぶやくように歌う。その様が、いい。
適度にポップに演出されたサウンドが、無骨なヴォーカルを随分と救っているように思う。
時おりビリーが手にしているサンドウィッチに目がいく。デリの袋から取り出して、一口ほど噛んだ所だろうか。アメリカでよく見るフツーのサンドウィッチ。たぶん美味しいはずだ。(大江田信)
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