The Sounds Orchestral / Go Home Girl
サウンズ・オーケストラルは、イギリスのプロデューサー、ジョン・シュローダーがピアニストのジョニー・ピアソンに白刃の矢を立ててスタートしたプロジェクトと思しい。
ジョニー・ピアソンのピアノ演奏を中心に置き、ドラム、ウッド・ベースを周囲に配したコンボ演奏を聴かせる。ジョニー・ピアソンのピアノがジャズっぽくバリバリのアドリヴを弾くという訳ではなく、イージーリスニングのピアノ・ポップといった風なのだが、おもしろいことにベースとドラムのビートが随分と立っている。ビート感が強い。
サウンズ・オーケストラル以降のジョニー・ピアソンのソロと、同じく同時期のジョン・シュローダー制作のポップス・オーケストラのアルバムを聴いてみると、どうもサウンズ・オーケストラルにおいて、ビートを求めたのはジョン・シュローダーの趣味だったように思われる。ジョニー・ピアソンはといえば、穏やかで平らな世界にピアノの音を滑り込ませるようなサウンドが好みのようだ。
ジョニー・ピアソンは、50年代の中頃からBBCの専属音楽家として働いて来た。サウンズ・オーケストラのプロジェクトを終えてジョン・シュローダーと袂を分かったのちには、ラリー・ペイジにマネージメントを委ねている。
キンクスのマネージャーとして知られるラリー・ペイジにもまた、興味深いポップス・オーケストラルのアルバムがある。
共に60年代スインギン・ロンドンの風味をたっぷりと盛り込んだサウンド、そしてジャケットの作品を制作しているが、微妙に趣味の違いがある。
正統派のジョン・シュローダーと、どことなくまやかし臭い感じがするラリー・ペイジ。なんて言うと失礼かもしれないが、じゃあどっちが好きなのかと言うと、ボクはラリー・ペイジが好きだ。
このあたりの音楽模様と人間模様に、もう少し立ち入ってみたいものと思い始めたところだ。(大江田信)
試聴はこちらから。